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第1章第13話 大阪編 ― 笑いと裏切りの通天閣 ―

熱気とたこ焼きの香りが入り混じる大阪・新世界。通天閣のふもとでは、全国大会予選の関西ブロック決勝戦が行われていた。観光客のざわめきに交じって、挑戦者たちの笑い声と焦燥が響く。

 神原翔は地図アプリを睨みながらぼやいた。「次のチェックポイント、“笑いの門”ってどこだ……」

 岩永蓮が隣で軽く踊りながら笑う。「考えすぎんなよ兄貴。大阪や、笑うしかないやろ!」

 その後ろでは、葉山玲奈が串カツを片手に冷静に周囲を観察していた。ルーレット形式の“人生アクション”が回り、止まった文字は《漫才バトル》。

 即席のステージが用意され、二人一組で観客を笑わせるミッションが始まった。失敗すればポイント没収、成功すれば大阪名物・特別ボーナス。

 千堂葵と桐谷美羽のペアが先陣を切る。美羽が天真爛漫にボケを放ち、葵が看護師らしい現実的ツッコミで爆笑を取る。審査員から金色の札が掲げられ、観客から拍手が沸き起こった。

 一方、慎重派の御影慎と唐沢陽介のコンビは緊張のあまり言葉が詰まる。沈黙が続いた瞬間、観客席から「がんばれー!」と子供の声が響く。小さな応援に背を押され、二人は見事に笑いを取り返した。

 ステージが終わると、司会の御堂エマがマイクを取る。「笑いとは、人の心を動かす最強のスキルです! 人生のゲームでも笑った者が勝つ!」

 夜になると、通天閣のネオンが煌めき、参加者たちは宿泊所へと向かった。

 その途中、橋の欄干に座る一人の男が彼らを見つめていた。

 「フフ……笑ってるうちは、まだ“ゴースト”に気づかんか」

 風が吹き、彼の姿は人混みの中に溶けていった。

 そして翌朝、チェックイン画面に一行の文字が追加されていた。

 《一名、リタイア判定。理由:不可視イベント発生》

 誰が消えたのか、まだ誰も知らない――。

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