表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/45

第1章第1話『運命の出発 ― 東京駅9999人のスタートライン ―』

春霞の朝。東京駅丸の内口は、異様な熱気に包まれていた。

 ざっと見渡すだけで数千人。いや、正確には――**9,999人の参加者**。

 それぞれが色とりどりのリュックと希望を背負い、巨大スクリーンに映るタイトルを見上げる。


 《TRANSIT QUEST GRAND VOYAGE ― 人生のゲームとワンダー・フォロワー ―》


 橘レオンMCがマイクを握り、笑顔で叫んだ。

 「全国から集まった挑戦者の皆さん! ここ東京駅をスタート地点に、あなたたちの“人生”が動き出します!」

 隣で副MC・御堂エマが続ける。

 「ルールは簡単。公共交通機関だけを使って、日本列島を横断! 各地で待つ“人生アクション”と“ゴースト推理”を突破して、アジアへの切符を手に入れてください!」


 列の最前列に、神原翔が立っていた。

 「理屈で勝てるなら簡単だが……この人数、完全に確率地獄だな」

 隣のバリスタ・葉山玲奈が笑う。「理屈よりも“運”と“人”やで。冷静に構えすぎると足取られるで?」

 背後では岩永蓮がリュックを背負い、ノリノリで踊りながら叫んだ。「開幕ダッシュ、フィーリングで決めるしかねぇ!」


 ルーレットステージが中央に設置され、最初の命運が決まる。

 「第一目的地――札幌!」とスクリーンに映し出される。

 全国を北へ、東へ、西へと散る数千人の挑戦者たち。東京駅から新幹線、バス、フェリーを駆使して、己の“人生の旅”を始めた。


 その人波の中に、奇妙なマスコットがふらりと現れる。

 ボロボロのスーツを着た“ワンダーボンビー”。

 「ハッハー! 運も愛も、全部まとめてリセットしてあげるボン♪」

 ざわめきと笑い、そして少しの恐怖が会場を包んだ。


 日比野結衣はスマホを構えながらつぶやく。

 「データ外の存在……これは単なるゲームじゃない」

 そして看護師・千堂葵が彼女の肩に手を置く。「人生って、だいたい予想外から始まるのよ」


 汽笛が鳴る。9,999人の足が一斉に動き出す。

 それぞれの“人生”が、今まさに日本列島を駆け巡ろうとしていた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ