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第8話 傭兵団VS盗賊団 ③



 戦場は混乱していた、敵味方が入り乱れて争っている。


 そこへ来て、魔獣のキリングパンサーとビーストテイマーの登場。


 盗賊団の頭目らしい、厄介な事だなまったく。


 「おめえ等! 何ちんたらやってやがる!」


 「す、すいません、頭。」


 数の上では多い盗賊団だったが、傭兵団の必死の抵抗により、護衛対象をしっかりと守っていた。


 だが、ここからはそう上手くいかなさそうだ。


 敵の親玉が出て来た以上、形勢は逆転する可能性がある。


 とにかく、あの魔獣が厄介だ。


 キリングパンサーは強い、並のモンスターの比じゃない。


 鋭い爪や牙での攻撃に加え、身動きも軽い。動物型のモンスターは手強い。


 強敵を前に、身体の震えが止まらない。


 「武者震いじゃないな、マジでおっかないぞ。」


 すぐそこに死が転がっている、俺もああなるのかと想像したら怖くなってきた。


 盗賊たちはみな一様に頭目を見て、拳を上げていた。


 「やったぜ! 頭だ!」


 「これでもう怖いモン無しだぜ!」


 「へっへっへ、てめーら! 覚悟しろよ!」


 反対に、傭兵たちは意気消沈している。無理も無い。


 「ど、どうする?」


 「逃げるか?」


 「いや、だが、あの頭目は高額賞金首だった筈だ。」


 「こっちにはテックさんが居る、まだ戦えるぜ。」


 「だけどよ、魔獣は危険すぎるぜ。」


 傭兵達は互いに相談し、その場を動こうとはしない。


 ふーむ、しゃあない。俺のスキル「メーカー」を使ってみるか。


 通用するか確かめたかった気もするし、丁度良い相手だ。よし! 使おう。


 ビーストテイマーの頭目に意識を集中して、スキルを発動させる。


 「メーカー、起動。」


 すると、頭目のステータスが表示され、スキルの欄に干渉出来る事が分かる。


 「なるほど、こういう風に使うのか。」


 早速、頭目のスキル「ビーストテイム」を「削除」してみた、すると。


 キリングパンサーに動きがあった、魔獣は一瞬我に返った様な仕草で辺りを見回し、そして一番近い盗賊へ向けて急接近した。


 そのままの勢いで、キリングパンサーは盗賊の一人に鋭い牙で噛みついた。


 「ギャアアアアアア………。」


 突然叫び声を上げ、盗賊が一人その場で絶命した。


 「な!? なんだと!?」


 キリングパンサーは次々と盗賊たちを襲い、嚙み殺して回っていた。


 「おい!? どうしたパンサー!? 勝手に動くな!?」


 「グガアアッ!!」


 頭目は焦り、鞭を振って魔獣を従えようと試みている。だが。


 「うおっ!? なぜだパンサー!? なぜ俺を攻撃する!?」


 キリングパンサーは頭目を前足の爪で攻撃し、ダメージを負わせている。


 「ちっ! 俺様の言う事を聞かねえのか? なぜだ? どうしてだ?」


 頭目は混乱していたが、わざわざ教えてやる必要は無いよね。


 うーむ、使えるな。このスキル「メーカー」は。


 これには流石に傭兵達も混乱している様子、テックさんもポカーンとしていた。


 よしよし、このままやってしまいなさい。パンサーとやら。


 と、思っていたら更に頭目が動いた。


 「おい! 誰か奴隷のガキを連れてこい!」


 「へ、へい!」


 咄嗟に判断したのか、頭目は部下の盗賊に命じていた。


 「ふーむ、奴隷のガキとは?」


 そうこうしている間にも、キリングパンサーは盗賊を殺しまくっている。


 あっという間に数が減り、盗賊団は壊滅状態になっていた。


 「チャンスです! 皆さん! 今のうちに撤退しますよ!」


 テックさんが仲間に号令を掛けると、傭兵たちは皆戦場から距離を取り始める。


 良い判断だと思う、テックさんは被害を最小限に抑える為、皆の安全を優先するようだ。護衛対象の事も考えているな。


 魔獣に勝てないと見越したテックさんは、すぐさま撤退を指示した。


 傭兵団がそれに応え、戦場からの離脱を始めた。


 だが、それを許さないと言わんばかりに、キリングパンサーは傭兵に狙いを付けた。


 テックさんは咄嗟に何かを放り投げて、注意を引いていた。


 「干し肉です! これで向こうへ行ってください!」


 テックさんが投げた干し肉が、丁度頭目の居る方へ転がった。


 「ちっ!」


 頭目は舌打ちし、盗賊に怒気を孕んだ声で叫ぶ。


 「まだか!!」


 「今連れて来ました!」


 盗賊が連れて来たと言って、一人の女の子を突き出す。


 「よーしよし、まだここで俺様が死ぬ訳にはいかねえからな。」


 そう言って、頭目は連れて来た女の子を突き飛ばし、キリングパンサーの前に転がせた。


 「そーら「ご馳走」だぞ、ゆっくり味わえ。」


 女の子を囮にし、頭目はその場を逃げる様に走り始めた。


 「あ………あ………。」


 突き飛ばされた女の子は、恐怖に顔を歪め、声にならない声を上げた。


 あの頭目、クズだな。


 自分でも驚いたが、気が付くとキリングパンサーと女の子の間に割って入り、剣を構えていた。


 「まったく、損な性格だと思うよ。ホント。」




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