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孤独は夜空で星を結ぶ  作者: 最下真人
【奥村蒼空】
42/42

青空が降らす雨②

「ごめん、蒼空。私のせいで……」


「千星のせいじゃないよ」


 千星は泣きながら俺の胸に飛び込んできた。

 この場所では触れられると結衣さんが言っていたが、地上に降りた時のことを思い出して不安になっていた。またすり抜けてしまうのではないかと。

 だが千星の体温をしっかりと感じることができ、安堵が胸の中に広がった。

 

 その後、ルールを説明した。

 本当はもう少しだけ噛み締めていたいが、会える時間は一時間だけだ。

 ここに来てもらったのは変わってもらうためであり、俺が満足するためではない。

 もう千星のそばにはいられないから、自分の中に軸となるものを作ってほしかった。

 俺がいなくても歩いていけるように。

 

 会えるのは一週間に一度と言うと、千星は寂しそうな顔で小さく頷いた。

 本当は毎日会いたかったが、喉元でその言葉を抑え、胸に下ろした。


「雪乃の恋を叶えてほしい」


 そう言うと、千星は愕然としていた。

 それもそうだ。学校では俺以外の人と滅多に話すことはないし、千星にとって他人と関わることは非常に難関なことだ。

 でも雪乃と友達になってほしかった。

 色んな人を見てきた結果、雪乃なら千星を受け入れてくれると思ったからだ。

 そして何より信頼できる。

 初めの一人で躓いてしまったら、もっと深い孤独の底に落ちてしまう可能性がある。そしたら二度、外の世界で笑えないかもしれない。

 だからこそ慎重に人を見てきた。

 もし友達になれることができたら、自信を取り戻し、自分らしく振る舞うことができる。俺はそうなることを願っていた。


 『恋を叶えてほしい』と言ったのは雪乃のためでもある。

 完璧な人間が恋に悩んでいても『雪乃なら大丈夫だよ』と言われるだけで、何の解決にもならない。

 でも千星なら真剣に向き合い、別の角度から一緒に悩んでくれるはずだ。

 雪乃に必要なのは、寄り添ってくれる人であり、理解してくれる人だと思う。

 友達になるにしても、雪乃だけに頼ってはいけない。

 千星も踏み出さなければ、本当の意味で友達になることはできないから。

 それも含めて『恋を叶えてほしい』とお願いした。

 

 *


 千星は一週間で雪乃の背中を押し、しかも友達になった。

 正直、こんなに早くできると思っていなかったので驚いた。

 でも一番嬉しかったのは、雪乃との出来事を楽しそうに話していることだった。

 俺と千星の会話で他人の名前が出ることは滅多にない。むしろ避けてきたことだ。

 名前を出せば悲しそうな顔をするから、ある時から言わなくなった。

 だけど今は「雪乃がね……」と、千星の口から他人の名前が出る。

 感慨深くて泣きそうになったが、グッと堪えて話に耳を傾けた。

 聞き終えたあと、もう一つの未練を言った。


「花山翔吾と友達になってほしい」


 花山に陽一を重ね合わせていた。

 あのとき救えなかったことを今でも後悔している。だから手を差し伸べたかった。


――なあ、俺も人に優しくしていいのかな?


 花山はこんなことを言っていた。普通なら人に聞かないことだ。

 言葉から推測すると、人を避ける理由は自責からきてる可能性がある。

 それは中学時代のことかは分からないが、花山が三宅のような人間には見えなかった。

 だとしたら殴った理由を知りたい。そこに苦悩の種があるような気がする。


――俺みたいな奴でも、友達を作っていいのかな?


 花山はこんなことも言っていた。

 このときはまだ、どういう人間かは知らなかったが、みんなが思うような人ではないと思った。

 ちゃんと向き合って花山翔吾を知る必要がある。

 あの頃は陽一を救えなかったが、今の自分ならできる自信があった。

 でもその想いは叶えられず、人生に幕を下ろした。

 だからこの未練を千星に託すことにした。

 

 *


「千星ちゃん、一週間で成長したね」


 地上に千星を送ったあと、戻ってきた結衣さんが俺の隣に座って言った。


「自分も驚いてます。他人と関われなかった千星が、たった一週間で友達を作るなんて」


 小学生のときは友達がたくさんいたが、あの出来事で人を信用できなくなってしまった。

 だから過去という足枷が無くなれば、周りと溶け込むことはできると思っていた。

 でもこんな早いとは思わなかったが。

 雪乃にも感謝しなければいけない。


「妹のことはいいの?」


「迷ってます。千星は美月と仲がいいので、言えば力になってくれると思うけど、今は外の世界との繋がりを優先しなければいけない。千星が自分で自分を支えられるようになるまでは、色んなものを背負わせたくないんです。それと、自分のせいで俺が死んだっていう自責の念はまだ消えてないと思います。俺の両親と会うだけでも、きっと辛いだろうから」


 美月のことを言えば、全力で救おうとしてくれるだろうけど、まだ不安定な時期だ。

 雪乃と友達になれたとはいえ、土台をしっかりさせないとすぐに崩れてしまう。

 そのためには学校生活を安定させる必要がある。

 順番を間違えれば、余計に苦しませるだろう。


「未練は人を成長させる。色んな人間を見てきて、そう思った。蒼空くんの言うことも間違ってないけど、千星ちゃんは自分で考えられる子だよ。そういう人間は背負ったものを糧にできる。一つの物事を色んな角度から見ようとするから。もちろん背負いすぎるのは良くないけど、信じてみてもいいんじゃないかな」


 時間が経てば経つほど、自分の力で立ち直ることは難しくなる。

 そしていつか、外の世界を嫌悪してしまう。

 美月にはそうなってほしくない。

 どこに向かっていいのか分からなくなっているとしたら、誰かの導きが必要になる。


 千星なら……


「結衣さんはいつでも地上に降りられるんですか?」


「うん、降りられるよ」


「明日にでも、妹のこと伝えられたりしますか?」


「できるよ」


「お願いします。でも無理はしなくていいとお伝えください」


「分かった」


 *


 千星はまたしても、誰にも打ち明けられなかった苦悩を花山から引き出した。

 雪乃と友達になれたことが自信に繋がったのか、自ら人と関わりに行けるようになっている。

 少しずつだが、地上の星は線を描き始めていた。

 そして美月にも会いに行ってくれたようだ。

 今の千星なら状況を変えられる。

 そう思わせるほど、この短期間で成長した。

 できればその過程をそばで見ていたかった。

 千星が前に進んでいく姿を、隣で見守っていたかった。

 一週間の出来事を話す千星を見ていると、嬉しさと切なさが胸の中で混ざり合った。


 千星を地上に送り、結衣さんが戻ってきた。


「次で最後だね」


「はい」


 そう答えたあと、お互いベンチに座った。


「蒼空くんは千星ちゃんのこと好きなの?」


 唐突な質問に顔が火照る。


「……はい」


 少し時間を置いてから答えた。

 誰にも言ったことのない気持ちだったため、喉で痞えた。


「伝えるの?」


「ずっと考えてたんですけど、言わないと決めました。最後は笑ってお別れをしたいんです。俺の片想いだから、きっと気まずくなる」


「本当にいいの?」


「仲の良い幼馴染で終わらせます。そっちの方が千星も良いだろうから」


 本当は伝えたいが、いつもの二人で終わらせたかった。

 最後に見る景色は千星の笑顔がいい。


「千星ちゃんのどこを好きになったの?」


「この人がいるから辛いことでも頑張れる。それは好きになったからではなく、好きになる前からそう思えた。だからですかね」


 もし千星がいなかったら、今の自分はいない。

 ずっと陽一のことを悔やみ続け、自分を嫌悪しながら生きていたと思う。

 他人の世界を変えられる人はほとんどいない。

 でも千星はそれができる人だった。

 周りからしたら夜に紛れる小さな星かもしれない。

 でも俺にとっては、夜空を美しく変えるたった一つの星だった。


「『好きだから頑張れる』と『頑張れるから好きになった』では確かに違うね。うん、素敵な理由だ」


 結衣さんは穏やかな笑顔でそう言ってくれた。


「恋をしたいから好きになったわけではなく、千星だったから好きになりました。そんな人に会えたこと、そして好きになれたことが、俺の短い人生で誇れることです」


「君みたいな人がいるから、私は案内人という仕事を選んだ。良かったよ、蒼空くんを選んで」


「案内人と視察官以外にもあるんですか?」


「このあと関わるので言えば、裁司(さいし)かな」


「裁司?」


「君たちの言う天国と地獄ってあるでしょ? それと似た場所があるの。来世に行くまでの間はそこで過ごすんだけど、どちらに振り分けるかは裁司が決める。何人かの裁司がそれぞれの視点から議論して、最終的に一番偉い司長(しちょう)が判断するの。ざっくり言うとこんな感じかな。千星ちゃんとお別れした後に裁司の見習いの人が迎えに来るから、その人に付いていってね」


 本来なら信じられないことだが、今までのことを振り返ると「そうなんですね」という言葉が簡単に出てしまう。


「俺はどっちですかね?」


「私はあくまで案内人だから、期待させるようなことは言わないようにしてる。私の役割はなるべく来世に未練を残さないようにすること。それだけを全うする。たまに余計なことをしたりもするけど」


 陽一のことがあるから、もしかしたら地獄かもしれない。

 そうなったとしても受け止めようと思った。

 親友を救えなかった償いなら、俺はいくらでも受ける。


 *


 窓に映る無数の星々に見守られながら、千星との最後の時間を過ごしていた。


「星、綺麗だね」

「綺麗だね」


 一緒にいられる時間も僅かとなり、五年間の物語にエンドロールがかかり始める。


「星と空だね」


 あの日と同じ言葉を告げた。

 そして千星も「星と空だね」と、あの日と同じように返してきた。


 小学生の時に千星に憧れていたことを話した。

 今まで言えなかった言葉を思い出の中から紡いでいく。


「千星の居場所になれていたと思うと嬉しかった。今の俺がいるのは千星のおかげだから。遅いかもしれないけど、変えてくれてありがとう。友達になれて良かった」


 友達……自分で言っときながら悲しくなった。

 好きというニ文字を抱えながら、枯れることない想いが胸に咲く。

 何よりも美しく、何よりも切ないこの一輪を、俺は渡さないと決めた。

 好きな人の笑顔で最後を飾りたいから。


「……こんなどうしようもない人間だけど、一つだけ誇れることがあるの。それはね、奥村蒼空という人を好きになれたこと」


 真剣な眼差しで千星が言った。

 空飛ぶ列車や、霊体のようになる自分。信じられない出来事をいくつか経験したが『奥村蒼空という人を好きになれたこと』、この一言が一番信じられなかった。

 思わず涙が零れそうになったが何とか堪える。

 最後まで千星の目を見て、話を聞きたかったから。


「……迷惑かもしれないけど、これが私の気持ち。蒼空のことが大好きです」


 迷惑じゃない。俺も千星のことが好きだから。

 でも自分の想いは伝えられない。

『好き』と言ってしまったら、千星はこの先ずっと引きずってしまうかもしれない。

 せっかく過去の足枷を外すことができたのに、再び立ち止まらせることをしてはいけない。

 俺が足を引っ張り、これから歩んでいく道の障害になりたくなかった。

 何か言葉を返したかったが、口を開けば想いを伝えてしまいそうだ。

 ずっと言えなかった二文字の言葉を、奥歯を噛み締めて喉元で抑えた。


「いやー、緊張するね告白って。手汗がすごいや。たった二文字言うだけなのに、MP全部消費したよ……そうだ覚えてる? 小学生のときに二人でRPGやっててさ、私が勇者の名前を『三代目よしぞう』にしようって言ったら、蒼空がよしぞうって誰だよってツッコミいれたけど、普通は『初代と二代目いるのかよ』だからね。そのツッコミだと……どんな名前でもそうなるから……だから……あれは間違って……」


 泣くなよ、バカ。

 最後は笑ってさよならを言いたいのに。そんな顔されたら、俺も泣くだろ。


「るからね……そんなんじゃ、女の子にモテないから……私くらいだよ……そんなツッコミで許して……許してあげれるのは……こんないい女、他に……他にいないんだから……」


 千星の涙が大粒に変わったとき、自然と体を抱きしめていた。

 ずっと好きだった人の体温が胸の中で重なり合う。

 そして少しだけ優しい香りがした。


「……今日が最後になるけど、明日からも笑っていてほしい。千星には笑顔が似合うから」


 俺が話し始めると、啜り泣く声は止んだ。


「千星」


「何?」


「もうそばにいることはできないけど、今の千星なら俺がいなくても大丈夫だと思う。これからは自信を持って生きてほしい。変わってるところもあるけど、でもそれが千星の良さだし、自分らしくいれば笑っていられるから。過去を振り返るときは、後悔ではなく一歩進むために。それも覚えといて」


「私、変わってないもん」


「変わってるよ。でもそれがいいところだから。千星が千星でいるときが一番輝いてる」


「うん」


 たとえ変な人と言われても、それは千星の良いところを知らない奴の言葉だ。


「いつか誰かと恋をして、幸せに生きてほしい。今日という日を思い出にするなら涙ではなく笑顔で。もう過去に縛られなくていい、大切のものはこれから進んでいく道に落ちてるから。だから泣かないで。これは悲しい別れではなく、千星にとっては始まりだから」


 千星は思いっきり鼻を啜った。その音が可笑しくて、つい笑ってしまった。

 でもこの空気感がいつもらしい。


「千星がいてくれてよかった。本当に楽しかったし、たくさん思い出をもらった。これでお別れだけど、元気でね。それと……」


――俺も好きだよ


「好きになってくれてありがとう」


「バカ、せっかく涙が止んだのに、また出てくるだろう」


 抱き寄せていた体を離して千星の顔を見ると、目から涙が零れていた。


「まだ泣いてるじゃん」


 そう言って、涙を拭った。


「私も一緒にいれて楽しかった。蒼空があのときいてくれたから、生きる意味を見つけられた。本当に会えて良かった。それと……好きという気持ちを教えてくれてありがとう」


 その言葉が合図になったように、部屋の扉が開いて結衣さんが入ってきた。


「もう大丈夫?」


 結衣さんに聞かれ「はい」と声を重ねて言う。


「じゃあ千星ちゃん、行こうか」


 最後は笑顔で。

 何度も頭の中で復唱してから千星の顔を見た。


「さよなら、蒼空」

「さよなら、千星」


 俺も千星も笑って別れを告げた。

 だが千星が背中を向けたとき、今まで我慢していたものが目から溢れてきた。


「またね」


 本当はそう言いたかった。

 また笑って隣を歩きたかった。

 下らない会話で日常を灯したかった。

 でも「さよなら」でなければいけない。

 千星がこれから進む先に、奥村蒼空はいないのだから。

 最後にもう一度顔を見たかったが、千星は振り向かずに部屋を出て行った。

 でもそれで良かったと思う。

 名残惜しく過去を振り返っても、未来の隔たりになるだけだ。

 それと、二人の終わりには笑顔が相応しい。


 *


 千星と別れてから数時間ほど経ち、夜に瞬く星を眺めていた。

 後ろから足音が聞こえてきたので、結衣さんが戻ってきたのかと思い振り向くと、そこには同い年くらいの男が立っていた。

 星の明かりに照らされた男は、あの頃の面影を残したままだった。


「久しぶり」


「なんで……」


「今は裁司の見習いをやってる」


「俺の視察官って……」


「途中で外されたけど、小学生のときは俺が担当だった。視察官は対象に感情移入しすぎてはいけないし、ましてや好きになってもいけない。基本的には何があっても俯瞰して見ないといけないんだけど、俺はそれが出来なかった。しかも俺の母親も蒼空を好意的に見てた。まあ簡単に言えば規則を守れなかったってことだけど」


 視察官の子供は両親と地上で暮らし、そこで視察官の教育を受けながら、俺たちと同じように生活すると説明された。

 子供の判断だけでは難しいため、家に友達を呼んで両親にも審査してもらうらしい。

 なぜ他人の家で遊びたがらなかったのかが今わかった。


「視察官としては三宅の行いに目をつぶらないといけなかった。でも耐えらなかったから母親に相談したんだ。そしたら、『自分は小学生の時にクラスの子がいじめられていたのを見過ごした。視察官としては正しい行いだったけど、今でもあのことを後悔してる。だからあなたのしたいようにすればいい。責任は私が取る』って言ってくれた。視察官としては失格だけど、母親としては最高だと思った」


「ごめん、あのとき俺が救ってあげられなかったから……」


「普通は自分のことで精一杯なのに、それでも蒼空は話しかけてくれた。それだけで十分救われたよ。それに悪いのは三宅だろ? お前は何一つ悪くない」


「うん……」


「そうだ、調査書見たよ。今日まで千星のことを守ってくれてありがとう。お前に託して正解だった」


 あの頃と変わらない笑顔で、そう言ってくれた。

 だけど……


「もう一つ謝らないといけないことがある。俺、千星のことを好きに……」


「それも謝ることじゃないだろ。ずっとそばにいたのはお前だし」

 

「ごめ……」

 

「そういえば、結衣さんが褒めてたぞ。あの若さで立派なもんだって」


 再度、謝ろうとしたが、間を詰めて違う話へと持っていってくれた。

 優しさもあの頃と一緒だ。


「あの人、元々は視察官だったんだよ。だから客観的に人を見るんだけど、その上で褒めるってことは相当なもんだぞ」


「そっか。向こうに行く前に聞けて良かった」


「なあ、蒼空」


「何?」


「俺は規則違反を繰り返した。視察官としては失格だけど、まったく後悔はしてない。蒼空と千星に会えて良かった。お前らがいてくれたから、本当に楽しかった。ありがとう、友達になってくれて」


 枯れることのない言の葉が胸に落ちた。

 旧友の言葉は、人生の終わりに相応しいピリオドを打ってくれた。


「それは俺だよ。お前がいてくれたから……俺は……」


 あの頃の思い出が蘇り、涙で言葉が詰まった。


「泣くなよ、バカ」


「うん」


 顔を上げると、向こうも顔を崩して泣いていた。


「泣くなよ、バカ」


「うん」


 あの日の別れのように二人は泣いた。

 まるで子供のように。

 薄命の人生に降り積もったいくつもの日常を、俺は思い出せなくなる。

 だけど、残してきたものは消えることはない。

 『ただ生きる』ということが許されない世界で、

 『どう生きる』かを強いられながら人は命を削っていく。

 だからこそ何かに縋り、救いを求めるのだろう。

 だけど自分の中にある可能性を見失ってはいけない。

 たとえ小さな光だとしても、

 何も見えない闇の中を彷徨っていても、

 輝きを灯せるのは自分自身だ。

 そしてその光が道を照らし、

 星は世界と結ばれて星座に変わる。


「じゃあ、そろそろ行くか」


「ああ」


 しばらく二人で泣いたあと、肩を並べて扉に向かった。


「あの世で全員と友達になる」


「全員は無理だよ」


「やってもないのに出来ないって思うのは勿体無いぞ。大抵のことは自分次第で変えられるんだよ」


「そうだったな」






【孤独は夜空で星を結ぶ】完



最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

誰にも知られずに孤独で苦しんでいる人が、いつか救われますように。


2025年 6月6日 最下真人

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