三十七 ある独り言
お題を見た時、思わず息を呑んだ。
いったい誰がこのお題を選んだのかしら。
今年から借り物競走のお題は、緑風祭委員長の最終確認を得てから確定する段取りになったはずだ。
昨年、あるお題のせいで大騒動になったため、それを防ぐために導入されたはずなのだけれど……。
手元のお題カードをもう一度開く。何度見ても見間違いではない。
緑風祭委員長の顔を浮かべる。
……きっと面白がって許可したに違いない。
彼女がそういう話題がよく話していたことを思い出した。
来年から生徒会長の確認も必須にしようかしら。
まあ、そういうのは全部終わってからでいいわよね。
今は目の前のことに集中しましょう。
しかし――
「――『初恋の人』……か」
対応に困るお題ね。
昨年の反省もあり、どうしても難しい場合は棄権することができる。
しかし、生徒会長である私が棄権するのは――
「――違うわよね」
せっかく緑風祭委員が忙しい中頑張って企画・準備してくれた競技だ。可能な限り取り組みたい。
それに……いないわけではない。去年なら難しいが今年ならいる。
彼の顔を思い浮かべる。
そうえば、何度かお題として連れられていたわね。
いったい何のお題だったのかしら。まさか同じお題? 流石にお題を使い回すことはないわよね。
でも連れていったのはすべて女の子だったわね。
…………。
まあいいです。
なら私も連れてきても目立たないでしょう。
彼を探しに校庭を回る。
友人と話しているところをすぐ見つけられた。
今までずっと探してきたのだ。これくらいの距離なら、いることがわかっているのならすぐ見つけられる。
なんとなく少し恥ずかしいが勇気を振り絞って声をかけた。




