神宮寺レポート5
六月前半は捜査上、特に大きな動きはなかった。
その代わり、御子息の方は色々忙しかったようだ。
色んなところに顔を出し、清麗様と呼ばれる生徒会長よりも偉い何かになるため奔走しているようだ。また、その現生徒会長といざこざがあったり、仲直りしたり、青春しているようで何よりでだった。これが青春漫画だったりラブコメだったりするならば、生徒会長との恋愛関係になるような展開が待ち受けているだろう。
ただ、生徒会長目線では御子息は女性なのでその展開は望めないだろう。
リアルで女子が男子校に潜り込むならばラブコメだが、男子が女子校に潜り込んだならば事案にしかならない。
実際に事案になっては困るため、そこに至る前に警察が動くことになるだろう。事案になって何が困るのかというと、御子息の命よりも、警察が女子校入学を手引きしたというのが外部にバレるのが困る。それで警察がマスコミに責められるのが実に困る。
御子息のことはご実家との関わりもあるため、手を尽くす守ろうとするだろう。
そうなると全ての責任は俺ら現場に降りかかる。
ゆえに俺らは明日のおまんまを食いっぱぐれないためにバレないように手を尽くす。できる限り学校というクローズドな世界で三宮美月という個人の情報を留めたい。
今回のような学外の友人との交流を持つぐらいならば目を瞑ることはできる。
だから、これ以上交友関係が広がったり、事件が起きないことを祈るだけだ。
六月三十日追記
三宮美月が関わった事件が起きた。ニュースにもなった。
5章『恋は人を美しくする』はこれにて終了です。
明日からは6章『目的と手段は逆になりがち』です。
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