神宮寺レポート4
あれから御子息の助言通り、情報の精査を進めた。
すると、とんでもないことが判明した。
あの情報、御子息の実家が流した囮情報だったのだ。あの規模の企業にもなると、独自の捜査網を持っているらしく、そちらで流した情報だったらしい。こちらとしても我々を信用してもらえないのかと落胆の声があがった。その旨を向こうに伝えると「警察も一枚岩ではないでしょう」と暗に内通者がいる可能性を示唆された。
俺の周囲にはそういう輩はいないと考えたいが、捜査する中でどうしてもヤクザもんでも交流する機会があり、事件によってはビジネスライクではあるが互いを信用し合うことがある。そのまま癒着する警察もたまにいる。ゆえに、警察同士でも情報を共有できないことがある。
御子息のご実家はそういうものを認知しており、あえて文句を言ったりしないが、だから文句を言うなということを仰りたいのだろう。
今回は御子息の助言があったから、短期間のうちに転校を繰り返すという隙を作らずに済んだ。だが、将来的に同じようなことがないとは限らない。
……つまり、御子息は今回で周知したからどうにかしろと仰っているのか。
警察組織はともかく俺個人として実家の信頼を勝ち取っていけということだろう。
魑魅魍魎がうごめく大企業相手に、低学歴な刑事が信頼を勝ち取るのは難しいだろうがやらなければならない。頑張ろう。
あの御子息も頑張っているのだ。
しかし、男の身で女子高の象徴になるため、支持を集めるのは一体どういう気分なのだろうか。そもそも何故そういうことになったのか。聡明な御子息ならば目立たない方が良いことは理解しているだろうに。
もしかすると象徴にならなければならない事情があるのだろうか。
そう考えて、考え過ぎだと笑った。
スポーツ特待生の多いアマゾネス達に、肉体美にしか興味のないあのアマゾネスという種族に、化粧を教えることが何かに繋がるとは到底思えなかった。
4章『道は自分では選べない』はこれにて終了です。
明日からは5章『恋は人を美しくする』です。
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