理想のイベントとは
帝国に来てそろそろ2ヶ月、事例紹介の翌日には再現ドラマをやらされる日々。
マリッカはなにか思惑があるのでは?と感じはじめていてた。
皇帝陛下の熱の入ったプロポーズの言葉に練習以上の意味がもしかしたら…なーんてね。
「マリッカ、君の理想のイベントってどれかな?」
再現ドラマで慣れてきたのかいつの間にか呼び捨てになっていたが悪い気はしなかった。
「それはまだお話ししてませんが、私が最初に手がけたものですね。
思い入れもありますし、私の大切なお友だちのためのものでしたから。」
「ほう、それは興味深い。是非、聞かせてくれないか?」
「話すのは構いませんが再現ドラマはちょっと難しいです。舞台が特殊ですので。」
「その舞台というのは?」
「私の祖国の領地にあります龍神湖というところです。」
「なるほどな。では、そこに行ってみるとしようか。
ダミアン!用意しておけ。」
「拝承〜」
「え、ちょ、ちょっとお待ちください!
ここからエスコラ王国までは相当な距離があります。
行くだけでひと月はかかるはずです。
皇帝陛下がふた月も不在になんて出来ませんでしょう?」
「ダミアン、出来るな?」
「出来ますねー、問題ありません陛下。政務のことはご心配なさらず行ってらっしゃいませ〜」
「だそうだ。」
「…」
なんか腑に落ちないマリッカであった。
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「クロエ、あなた何か隠してない?」
手回しよく3日後には準備が整ってハーゲンドルフ皇帝陛下とマリッカ、クロエは精鋭の近衛小隊に囲まれて皇宮を出発し、5日後に隣国との国境をノーチェックで通過して、この国の旧知の王に招かれて迎賓館に泊めてもらっていた。
いくらなんでもこれはおかしい。
「実は私がここの国王陛下に手紙を書きました。」
「やっぱりね。あんなに警戒してた帝国の皇帝を護衛とともにすんなり通してこんな国賓待遇なんて普通はあり得ない。
どうしてそんなに皇帝陛下に肩入れしているのかしら?」
「やはりお嬢さまは鋭い。
シナリオではもうしばらくは気づかないところでしたが甘かったです。」
「シナリオ…って、これは貴女が企画したイベントなのね?」
「そうです。皇帝陛下の一目惚れのお相手とはお嬢さまなのです。」
「へ?」
死角からの一撃にモロにダメージを食らうマリッカ。
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「いやあ、帝国の皇帝陛下が北の妖精姫をなあ。」
妙に嬉しげに皇帝陛下に話しかけるこの爺さんはこの国の国王陛下である。
「はい。いまだアプローチ中ではありますが北の小国で決める所存です。」
「ウンウン、それがいいね。あの娘もそれを望むだろうて。
皆が心配していたのだ。
他人の喜びを糧に生きているのは分かるが、それは彼女自身が満たされないことの裏返しであることは皆が知っている。
かといって、誰があそこまで仕上がった傑物を娶れる?
そこらの王子程度じゃダメダメ。大国の皇帝陛下なら言うことなしじゃ。
帝国については誤解が多かったようじゃな。済まぬ。」
「いいえ、誤解を与えてしまうのはしかたのないことでした。
狂った王から簒奪して同罪の王族を処刑。
さらに民を虐げる腐った貴族が4割はいたので粛正するしかなかった。
その上で国内の貴族の権力を削ぎ落とすために帝国としました。
他国に覇を唱えるものではありませんが、対話の糸口が掴めなかった。
こうしてお話させていただけるだけでもありがたいことです。」
「帝国皇帝は、ずいぶんとイメージしていたものと違うの。フォッフォッフォッ」
この極秘会談の後、周辺国による帝国包囲網はあっという間に解かれたのだった。
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「ィヤッホーイ!姫さん最高ー!!!」
皇宮の皇帝執務室に代行の宰相ダミアンの絶叫がコダマした。




