物語
『あるところに王様がいました。それはそれは大変優しい王様で、国民の人々から愛されていました。王様は国民が悲しんでる顔がとても嫌いでした。
そんなある日、一人の国民が来ました。その国民は恐縮した様子で王様にこう言いました。「王様、農具が壊れてしまい買い直すお金がありません。なので、王国の農具を貸していただけませんか?」
王様は少し考えてから言いました。
「いいですよ、ですが貸すのではなく差し下げます。」
「えっ、ほんとうですか?それは大変助かります。このご恩は決して忘れません。」
「よい作物が出来るよう祈ってますね。」
こうして国民は帰っていきました。
この話は少しずつ国民に広まっていきました。そして、王様の下にはたくさんの国民が来るようになりました。あるものは工具を、あるものは裁縫具を。次第に国民の要求は大きくなっていきました。ある者が、
「王様、馬を2体貸していただけませんか?」
王様はまた少しだけ考えてこう言いました。
「いいですよ、ですが貸すのではなく差し上げます。」
「ありがとうございます、王様。」
「この馬たちを大切に扱ってくださいね。」
こうして国民は帰っていきました。そしてまたあるものは家畜を。
そしてある日、王様が城下を馬車で移動中、道端に座ってずっと手を差し伸べている国民を見つけた。次の日もまたその次の日もその国民は同じ場所にいたので王様は、
「これを使ってください。」といってお金を差し上げました。
次の日、王様の下に「王様、お金を貸していただけませんか?」という者がやってきた。そして王様はまた少し考えてから、
「いいですよ。」と言った。
それからと言うもの、王様にお金や土地、家などを懇願する国民が増えたのです。
こうして王様はいろいろなものをあげたり、譲っていたりしたら、とうとう国が亡くなってしまいました。王様は国民から罵倒や非難の声を浴びろことになったのです。
そして、王様は……』