第5話 盟約の者
あれはいったいなんだったのか、俺自身イマイチ理解ができていなかった。あれが夢なのか、何なのか俺には分からない。ひとつ言えることは、俺はあの闇の中で恐怖に打ちひしがれていた。アレを俺が作り出したのか?
そう考え詰めていると、さっきとはまた違った禍々しき気配を感じた。それは俺の後方からだった、恐る恐る後ろを向くすると。
「ん!?」
そこには、黒く立ち込める靄が揺らめいていた。
「なんだあれ?」
俺はその靄をじっと眺めていた。その靄は、急激に揺らめきがまし、不安定ではある形を形成しだした。それは例えるなら、龍の頭の様なシルエットだ。その龍頭を形成した靄は、俺に語りかけてきた。
「よくぞ来たな、神宮寺 真琴よ」
そいつは俺の名を真っ先に口ずさんだ。
「お前はいったい何者だ?なぜ俺の名を知っている?それにここはどこだ?」
俺は奴に対する疑問をまとめて投げかけた。
「我に名はない、だが貴様たち人間は我のことをガヴィルと呼ぶ、そしてここは最果ての巣窟という場所だ」
ガヴィルと名乗る黒い靄は、意味の分からないことを俺に告げる、奴がどういう立場でなぜ俺がここにいるのか明確な理由はわからない。ここはあまり口出しせずに聞くことに徹するべきだろう。
「俺は何故ここにいる?」
「神宮寺 真琴よ貴様は選ばれたのだ、世界を救う者として」