表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
zero×騎士  作者: 朧月 燐嶺
第2章 覚醒
34/46

第26話 目覚める力

長らく投稿があいてしまいました。



 約二日、屈辱を味わってから経過した。たった二日の短い時間でも波乱の連続だった。出会い、別れ、それにまさる戦いがあった。それでも俺は全て乗り越えいまここにいる。あと一歩でアイリスを助けられるかもしれない。一刻も早く俺はアイリスを助けたい………


 真琴はその一心で山を下り王都クーデリアに入った。真琴は南の正面の門から王都に入った。クーデリア城を軸に東西南北に街が広がるり、ここから各地に流通が広がり、人も集まる。それだけここも広い。門からクーデリア城まではおおよそ一キロ近くは優にある。真琴は迷わないように裏通りは避け、表通りを直進していた。


 すると急に辺りが騒がしくなった。店や家からただならぬ数の人々が押し寄せる。


「王国騎士様がお戻りだ…」


「みんな表に集まれ」



 真琴は民衆の一番後ろの方から観察することにした。道の中央が開けられ街の人々は道の端に移動すると王国騎士一行がその道を通る。


 街の人々は歓声で王国騎士を迎えた。真琴は黙ったままだった。するとひと際目立ったのが前を通る。


「なんだあれ…」


 真琴は驚いた。荷車いっぱいに女性が手と足を縄で縛られ、鎮座していた。その中にアイリスもいた。その荷車の後ろに付くようにあの騎士の姿もあった。


「…」


 真琴は表には感情を出さないように必死に込み上げてくる感情を抑えた。拳を強く握りしめ、じっと耐える。しかし真琴の殺気だった眼差しだけは隠しきれなかった。一瞬だけあの騎士と目があってしまう。その瞬間に真琴は目をそらす。


 しかし、気づかなかったのか或は気づいていたのか、わからないが目の前を去っていった。街の人々は王国騎士が去るとそれぞれの場所に戻っていった。その去り際に街の人々はいろいろと愚痴を漏らしていた。



「…見たかよあの女たち、王様の妃候補だぜきっと」


「…いまの現王に変わってから、ほんと最悪だぜ」


「…王国騎士の名もがた落ちだよなぁ~」


「…シュバルツ騎士団長もあんな現王の言うこと聞くしかないとは可哀そうに…」



 真琴はとある男が口にした。名前に反応を示した。



「あ、あの」


「ん?なんだ兄ちゃん。」



「シュバルツ騎士団長ってどんなひとなんだすか?」


「騎士団長はさっき荷馬車にいた。若い人だよ。」



 真琴の考えていることは正しかった。やはりあの騎士がシュバルツだった。真琴は心の奥底で何かが燃え始めていた。


「ありがとうございます…」


「お、おい兄ちゃん!」



 真琴は礼を言って駆けていった。


「どうした?」


「い、いやさっきの兄ちゃん。すごく険しい表情をしてたんだ……」


「気のせいじゃないか?」


「…そうかもな」


 ほどなくしてクーデリア城の門前に到着した。門の前には衛兵が二人、ランカーを携えて立ち構えていた。真琴は平然と門をくぐろうとする。


「止まれ…!」


 威勢のいい声で、両側から槍をクロスさせ行く手を阻まれる。


「ここから先は貴様のような子供が来るところじゃない」


 門番の決まり文句だ。


「…一応、仕事だから聞いておくが、貴様通行所を持っているのか?」


「いや、そんなもの持ってない。」


「ならとっとと、失せろ!」


 門番は当たり散らすように真琴を追い返す。しかし真琴は食い下がらない。


「失せないよ。悪いがここは通らせてもらう」


「チッ、面倒なガキだな。痛い目見たいか?」


 するともう一人の門番が横から入ってくる。


「待てよ、こいつの身なりを見ろよ。ボロボロだ。こんなガキがこの町にいるか?それに腰の剣……こいつ賊かもしれないから、やっちまうか?」


「それもそうだな、門番って結構来るんだよなぁ精神的に…」



 そう言って真琴に攻撃を仕掛けてきた。だが真琴は全く動じることなく刃折れの剣で受け止める。そして門番たちは門の鉄格子を巻き込み吹っ飛ぶ。その様子を近くにいた城の衛兵たちが目撃していた。



「門番がやられた!反逆者だぁ!」


 掛け声と共に、衛兵達が次々と襲いかかる。真琴はそれを難なく退ける。正直な話真琴でも対処が出来るほどの腕前のものばかり、王都とは名ばかりだと思った。



「どけぇ!」



 真琴は何度も現れる新手の衛兵に腹を立てた。カウンターで直ぐに地面に沈む衛兵達、数だけは一丁前に揃えても所詮は見掛け倒しの名ばかり連中だ。


 そんな時、強い悪寒が走る。真琴は一瞬驚きを見せたが直ぐに警戒に入る。



「まさか、こんな所まで来るとは…先程の殺気はやはり君のものだったか…」


 聞き覚えのある声だそしてやはりあの騎士だった。面と向かって騎士と対面するとふつふつと心の奥底で何かが沸き立つのを感じた。


「当たり前だ、あんたをぶっ潰しに来た!」


「ふん、負けておいて今更何を言うかと思えば……」


「何が言いたい?」


 あえて言葉を詰まらせた騎士の言葉を真琴は気にする。


「敗者はいくら足掻こうと、敗者だと言いたいのさ」


「……なら、その敗者に負けるお前は敗者以下だな…」


「何?」


 騎士は真琴の口車に載せられる。


「…騎士としてのプライドがあるなら、あんたに決闘を申し込む!」


「何だと?」


 騎士は驚いた様子だった。


「俺はあんたを倒すために来た……そう言ったよな?だから、正々堂々あんたに決闘を申し込む。それだけだ。」



 騎士は少し驚いた様子を見せたが直ぐに切替して来た。


「決闘か……いいだろう。」


「それともう一つ…」


 真琴はここぞとばかりに言葉を付け加える。


「俺があんたに勝ったら、アイリスを返して貰う」


 真琴は決闘での勝利にアイリスの奪還を提案した。騎士は少し考え、条件を飲むことにした。しかし……!?



「その条件は飲んでやる……だが、君が負けたら一生、惨めな余生を過ごすと言うのはどうかな?」


「!?……わ、分かった。条件を呑む」



 真琴は勝てる見込みがあって、戦いを切り出したのか、はたまた行き当たりばったりで戦いを申し込んだのか、それは真琴にしか分からない。真琴は苦しながらも条件を呑む


「よし、私に着いてこい。」


 そう言われ、騎士の後について行く、真琴の後ろは衛兵達が槍や剣を持ち、逃げられぬ様に後ろを歩いている。


 城内を歩き、進んだ方角のドアが開くと広間のような外の空間に手到着した。




 〜〜一方アイリスは……


 アイリスと同じく王の貢物として運ばれた、女性たちは玉座の間へと招かれた。

 全員が一列に並べられた。そして空席だった玉座に王が座った。現王ベルナール、最低最悪の評判を持つ王様だ。


「そなたらは、我のお妃候補としてここに集められた。光栄に思うがよい。」


 正直な話誰一人として光栄などと思ってはいないはずだ。好き好んでもこんな小太りでダメな奴を好きになるはずがない。アイリスはそう思っていた。


「そなたよ、名前はなんというのじゃ!」


 いったい誰が呼ばれているのかと思って最初は無視していた。しかし、衛兵が小突いてきてようやく理解した。現王はアイリスをご指名のようだった。


「何か?」


 冷たい態度であしらう。


「名前じゃ、名前を聞かせてくれ」


「名乗る義理などありません」


 その態度に衛兵が動く、アイリスの首元に剣を向ける。寸前のところで剣は止まっている。


「止めぬか!その女子(おなご)を傷つけるでない…我は……我は、そなたに一目惚れした!」


「は?」


 アイリスから素の言葉が漏れる。軽蔑と言った感情がふつふつと沸き立っていた。


「此度で、四度目じゃ、何度やっても我に相応しい女子(おなご)はおらん。しかしそなたは違う、我と巡り会うためにここへ来たのだ!天の思し召しじゃ!」


「……」


 アイリスは言葉を失う。体に変な汗をかき、鳥肌が立っていた。この状況は最悪だと思ったその時だった。


 後ろの扉が勢いよく開く……!?


「大変です陛下!」


「何事じゃ?我は今忙しいんじゃ、あとにせい」


「し、しかし、城に侵入者が入り込みまして、今他の衛兵たちが対処しておりますが……手も足もでない状況で……」


「騎士長達はおらんのか?」


「騎士長殿達は現在、遠征中てこの城内には騎士団長殿しか残っておりません」


 ベルナールは怒りの表情を抑えきれず、感情的になり衛兵を怒鳴りつける。


「なら、さっさとシュバルツに対処させい!」


「今、シュバルツ様はその侵入者の元へ向かっております。」


「……そうか、ならさっさと排除しろと伝えろ!」


 命令を受け、衛兵が去ろうとすると、ほかの衛兵が駆けつける。


「国王様!」


「!?なんだ、鬱陶(うっとう)しい!」


「騎士団長殿が侵入者の決闘(デュエル)を申し受けました!」


「なんだと!」


 ベルナールは、たいそう驚いた様子だった。更に驚きは増える。


決闘(デュエル)の勝敗にその……エルフの女を要求したようで…」


「くっ、面倒だ……まぁ彼奴が負けるはずもないか……して場所は?」


「はい。広間でございます。」


「うむ。ではエルフのそなたよ、我と参れ」


 アイリスは嫌々ながらも広間へと向かった。




 それから数分後に二階のテラスから小太りの男が出てきた。その隣にアイリスもいる。


「我はクーデリア王国、現王ベールナール・ハイン・クーデリアである。騎士長よ、直ちにその下賎な輩を始末せよ!」


「陛下の逢瀬(おうせ)の通りに……」


 騎士はそう言い残すとこちらに振り向いた。 そして盾から剣を抜き空へ掲げた。


「剣を抜け…」


 真琴は少し躊躇(ためら)ったが、鞘から刃折れの剣を抜く。


「名前は?」


「え?」


 咄嗟に名前を尋ねられ困惑する。


「名前を言え。」


 真琴は半ば強制的に名前を言う。


「真琴…」


 名前を聞き取った騎士は何かを宣言し始めた。


「これより、騎士団長シュバルツと、反逆者真琴による決闘(デュエル)をとり行う……」


 騎士が掲げた剣に真琴も剣を重ねる。


「では始めようか…」


「その前にルールを聞かせてくれないか?」


 真琴の質問に騎士は答える。


「君は調子が狂う…まぁいいだろう。ルールは簡単だ、どちらかが戦闘不能になるか、武器が破壊されればその時点で負けだ。」


「わかった。」


 つまりは、死ぬまでやるということだと解釈する。気を引き締め、いざ決闘(デュエル)が始まる。


 両者後方へ下がり距離を取る。所定の位置に付くと、それぞれ攻撃の構えに入る。真琴は刃折れの剣を右手で持ちラフな形で相手を窺う。騎士は腰の位置に立ってを構え刃は下を向いた状態で、真琴と立ち方に大差なかった。





今までの遅れを取り返せるよう尽力いたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ