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zero×騎士  作者: 朧月 燐嶺
第2章 覚醒
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第24話 洞穴の猛者

所々AやB、α‬とβとγなど出ますが、複数体いる場合、一体いったいを区別するための番号のようなものです。あまり気にせずお読みください。



 それから真琴は次々と襲い掛かるゴブリン達を倒していった。男の言っていたように統率が取れている。三体の編成で、前に二体が先行し足止め、後ろの一体が攻撃を仕掛ける。



 それにやたら目ったら剣を振るのではなく、足元や手を狙って無力化を図る。よくできている、関心などしている場合ではないことは重々承知だ。真琴は先行するゴブリンA、Bの攻撃を受け止め、技を発動した。


反撃(カウンター)!!」


 ゴブリンA、BはゴブリンCの方へ吹き飛ぶ、二体の死体に押され体制が崩れる。真琴は、地面に落ちている剣を拾い、ゴブリンCのもとに投げる。



 剣は縦回転で見事に標的に突き刺さる。なんとも言えぬ奇声を上げ、ゴブリンCは絶命した。しかしまだ戦いは止みそうにない。



 休む暇すらなくゴブリンが押し寄せる。その勢いに怯むことなく果敢に攻め立てる。血飛沫を上げながら地面にばったりとゴブリンの骸が転がりつづける。門を開け、やっと三階を制覇できた。


「はぁ、はぁ……いつになったら終わるんだ。」


 もう既に、かなりの数のゴブリンを退治しただろう。これならゴブリンスレイヤーの称号でも貰えそうだ。などと現を抜かしている場合ではないかと、ゆっくり前に進む。


 おそらく四階に続く階段だろう。


 その階段から、見たこともないゴブリンが下りてきた。ボロボロのローブを身にまとい、右手には杖を持っている。



 他の二体は今まで倒したゴブリンと同じ、やはりローブを着た魔法使いチックなゴブリンがひと際目に映った。真琴は少し後ろに下がり距離を取った。



 すると、攻め方は変わらず、二体のゴブリンが先行し、残りが攻撃を仕掛ける。分かり切った戦法だ。しかし今回は一味違った。



 前を先行する二体のゴブリンαとβ、その後ろでゴブリンγが呪文を唱えていた。


「ふぁいあ」



 あやふやな発音で魔法を唱える。すると、杖に小さな火球が生み出された。それを真琴目掛けて投げた。先行するα‬とβの間をぬけ、真琴に進軍する。



 それを交わすが、α‬とβが切りかかる。


 前のゴブリン達と同じく、反撃(カウンター)であしらう。ゴブリンα‬とβは地面に倒れる。



 ゴブリンγは不敵な笑みを浮かべていた。そのとき、真琴は薄らと何かを思い出した。



(確か、魔法を使うゴブリンがいたはず………名前は、ゴブリンシャーマンだったかな、)




 真琴の考えは正しく、ゴブリンγはゴブリンシャーマンだ。呪文の発音があやふやだった所をみると、下級クラスのゴブリンシャーマンだろう。



 魔力ぎれを狙うか?いや、時間は惜しい。ならばと真琴は、どこを攻撃するかを見定めた。


 ゴブリンα‬が落としたナイフを手に取っり、ゴブリンシャーマンの元へ駆け寄る。ゴブリンシャーマンはあやふやに唱えた呪文で応戦する。


「ふぁいあ……ふぁいあ、」


 火球を避け、隙を見てナイフを投げる。

 剣とは違って、真っ直ぐナイフは標的に飛んでいく。そして見事にゴブリンシャーマンの喉元に突き刺さる。これで詠唱はできまいと、ゴブリンシャーマンの首を撥ねる。



 難なくここまでは来れたが、これから先が真琴にとっての難所になる___



 真琴は上階へ進んだ。すると上階はただの一本道だった。真琴は、迷わず進む。



 すると大きな空洞にぶち当たる。



 その空洞には、他のゴブリン達よりも3倍はデカいであろう。巨漢のゴブリンが鎮座していた。その圧倒的光景に言葉を失う。するとそちらの方から真琴に接触してきた。




「……よくここまでたどり着けたな、混血種(リジンヌ)



 あまりの迫力に気圧されそうになるが、強気な態度で答える。



「お前か、ここの人達殺ったのは?」



「あぁ、そうだよ。だがてめぇみてえなガキに仲間が殆ど殺られちまった。」



「自業自得ってやつじゃねぇのか?」



 巨漢のゴブリンの顔に怒りが滲み出ていた。


「ぬかせぇ、」



 そう言い出すと巨漢のゴブリンは立ち上がった。全長は三メートルは超えている。そして地面に突き刺してあった大振りな片刃刀を引き抜き肩に載せた。



「こっからは、大将戦だ!てめぇをズタズタのミンチにでも変えてやる」



 真琴は構えた。いつ攻撃してきてもで反撃(カウンター)返せるように、身構えた。痺れを切らしたのか巨漢のゴブリンが仕掛けてくる。


「しゃらくせェんだよォォ!」


 そう言い出すと、片刃刀の野太刀で勢いよく真上から振り下ろす。とりあえず横へ回避する。野太刀が地面に触れると物凄い衝撃が地面に走った。



野太刀が地面に食い込む。それを無理やり引き抜く巨漢のゴブリン。すると逆上したかのように、片刃刀を振り回す。



「よけんじゃねぇよォォ!」



 真琴は防戦一方で巨体から繰り出される攻撃を剣で受け止め、反撃の糸を探るが力があまりにも違いすぎ、一向に反撃(カウンター)を繰り出せないでいた。



「くっそぉ!なんて馬鹿力だ。」



 あれほどの破壊力を持った一撃を反撃で返せば、向こうに大ダメージを与えらるはず。



 問題は真琴が巨漢のゴブリンの一撃を上手く反撃(カウンター)に派生させられるかどうかだ。



 生半可な力じゃあれを利用出来ない。なら、こちらも覚悟を決め、一点にかけることにした。真琴は反撃(カウンター)の繰り出せるタイミングを見計らった。


 巨漢のゴブリンは胴切り、袈裟斬(けさぎ)り、切上げ、色々な方向から連続で攻撃を仕掛ける。

 


理想的なのは上から下へ切り下ろす。唐竹割(からたけわ)りだ。


 その瞬間を狙いまつ。


「いいかげん。死ねよォ!」


 更に逆上した巨漢のゴブリンは唐竹割(からたけわ)りを繰り出す。真琴は今だと、剣で受け止め技を発動する。



反撃(カウンター)ァァ!!」



 凄まじい突風を生み出し、巨漢のゴブリンの攻撃が真琴のに反撃(カウンター)より、衝撃波となり帰る。



この攻撃をくらっては幾ら図体(ずうたい)がでかいとは言えど、相当のダメージのはず。巨漢のゴブリンは地面に倒れ、そのとき地震でも来たかのような揺れが足元に伝わる。



「そんなもんかよ……」


 巨漢のゴブリンはそう言うと、体を起こした。そして胸元を軽く払う。まるで全く聞いていなようなそんな言動だった。



 ならばと、真琴は巨漢のゴブリンの攻撃を次々と反撃(カウンター)で返す。一撃、二撃……それでもダメなら三撃、四撃。しかしその攻撃は全くと言って聞いていない素振りだった。



「……嘘だろ、なんで倒れない。」


 真琴は内心焦っていた。確実に大ダメージは与えられているはず。相手の攻撃が強ければ強いほど、その分向こうに返るダメージは大きくなる。しかし巨漢のゴブリンは一向に倒れない。一撃が耐えられたとしても、複数回叩き込めば絶命するはず。




 真琴は巨漢のゴブリンが倒れない理由が何かあると踏むが、その答えを見いだせないでいた。



 このまま攻撃を受け続けてもどのみち真琴はやられるだろう。だが、ここは反撃(カウンター)で押していくしかない!!


「俺は、負けられねぇんだよぉ!」


 真琴は叫ぶ。そして巨漢のゴブリンの攻撃を反撃で返す。先程と同様に衝撃波巨漢のゴブリンに直撃し、巨大な図体が地面に沈む。そのときに、周りに砂埃が待った。



その砂埃はどこから来たか分からない風により辺りをまう。



 そんな風景が、巨漢のゴブリンが倒れない秘密暴くのだった___。



 砂埃が風に(さら)われた先に、異様な(シルエット)が確認できた。その形は、下の階で見たゴブリンシャーマンに似た(シルエット)だった。



 その瞬間真琴の頭に電撃が走るかのように、カラクリが見えた。



 巨漢のゴブリンは全く効いてないかのように起き上がる。その起きあがりの瞬間に、真琴は忍ばせておいたナイフを、砂埃が偶然見せた姿の方へ投げる。すると……



「ァァァ!?」



 耳で聞き取ることが難しい程の超小声で、奇声が聞こえた。そして居ないはずの場所から、急にゴブリンシャーマンが姿を表した。



 これで、巨漢のゴブリンが地面に倒れない謎は解けた。



 要は簡単な話だ。ゴブリンシャーマンが、透明化魔法を自分に掛ける。それと同時に自身にサイレントを掛ける。今回は自身の詠唱を相手に気かけれないように使用していた。



 そして、防御魔法を掛け、真琴の反撃を食らったら即座に回復魔法を掛ける。



 それを繰り返す事で、真琴の体力を奪いながら勝ち目がないと心に敗けを定着させる。



 くらい続けた巨漢のゴブリンからしたらはた迷惑だが、確かに勝つためにはそれが優勢かもしれない。



 その間ゴブリンシャーマンは、奇声を上げ真琴に何かを口走っていた。



「……お前ごときィ…たかが混血種(リジンヌ)のガキに見破れるとわなぁ……」


 とても屈辱だったんだろう。ただでさえ歪んだ顔が、更に歪んでいる。そんな事よりも真琴はゴブリンシャーマンが普通に言葉を話した事に驚く。



ゴブリンシャーマンにも低級クラスと上階クラスがいるのだとここは解釈しておく。



「まぁ、見破られた所で二対一……お前に勝ち目なんてない。」



 確かに言う通りかもしれない。だが手の内が分かったことで、倒せない相手ではないということが判明した。



ならば戦い方はある。真琴はまずわゴブリンシャーマンから倒すことを考えていた。ゴブリンシャーマンがは回復魔法を使える。もしかすると、蘇生魔法が使えるという可能性も否定できない。



 なら早急に倒しておいた方がいいかもしれない。それに回復役(ヒーラー)を先に倒しておけば、あとはどうにかなるはず。



真琴はとりあえずゴブリンシャーマンを倒そうと先走るが、そうやすやすとはいかなかった。


 巨漢のゴブリンの野太刀が行く手を阻む。


「あっぶねぇ!?」



 間一髪で攻撃をよけたが、第二波が襲い来る!


のどをつぶしたと思っていたゴブリンシャーマンが、電撃球(サンダー)を真琴に使用してきた。とっさに刃折れの剣で受け止めたのが間違いだった。



剣は基本的に鉄でできている、なら電気を通す。威力がそこまでなかったからか、剣を持つ右腕が少し痺れたぐらいで済む。



「お前だけわぁ……絶対ぃにぃ殺す!」


 理性を失うほどキレていることが(うかが)える。これは利用できるのではないかと真琴は思った。だが何か思いつく前に巨漢のゴブリンが割って入る。



「てめぇのおかげで作戦は台無しだ……ここはきっちり始末しないとなぁ。」



 以外にも巨漢のゴブリンは冷静だった。



「それはごめんだな。」



 真琴の言葉が合図のように、二体のゴブリンが同時に仕掛ける。野太刀での大振りな一撃、その後に放たれる低級属性魔法。



片方がキレているにも関わらず、息があっている。そこで真琴は思う、もう片方が同じくキレれば、いい具合に利用できるかもしれないと。そこで巨漢のゴブリンを煽ぐ。



「やっぱり、お前じゃ俺は倒せないよ。」



「なんだとぉ……根拠もねぇ癖に!」



 巨漢のゴブリンは口車に乗った。真琴は更に(あお)ぐ。



「だってさ、俺みたいなガキに見破られるような作戦で勝てると思ってんだろ?とんだ阿保もいたもんだな……あ、目の前にいたか!」


 こんな煽りで向こうがひっかかるとは思えないが……


「ふざけんじゃねぇッ!!!てめぇは即刻ぶっ殺すウゥっ!」



 さっきと同様、怒りに我を忘れた巨漢のゴブリンは無闇やたらと野太刀を振り回す。これを待っていたとばかりに真琴は右回りでゴブリンシャーマンの元へ近ずく。



その間、野太刀と属性魔法の応酬に耐えながらも、ゴブリンシャーマン元へたどり着くと、近距離で杖を振り回す行動を取った。



 いくらブチギレだからっと言って、杖を振り回すかとは思った。ゴブリンシャーマンは魔法をそっちのけで杖を振り回す。剣のように一定のリズムで剣裁きを繰り出すのとは違い、闇雲にふりまわすだけだ。



それを容易に剣で受け止め、時間を稼ぐ。するといいタイミングで巨漢のゴブリンが野太刀を振り下ろそうとしていた。



 息は荒く、まるで獣のようだった。所詮は言葉が話せても蛮族には変わりがない。巨漢のゴブリンは雄叫びを上げ、野太刀を振り下ろす。



「ふごおおォォォっぉ!!」




 振り下ろす瞬間に、ゴブリンシャーマンを野太刀の軌道に押しのける。すると、盛大に血飛沫を上げた。



 しかし怒り狂った巨漢のゴブリンは止まることがなかった。何度も何度も野太刀を振り下ろした。その度に、血飛沫と砂塵が舞う。そして怒りが抜けたのか、巨漢のゴブリンは高笑いをし始めた。




「はっはっはっ、はーはっはっは……!!」




 巨漢のゴブリンは、砂煙がはれると唖然としていた。それもそのはず、真琴だと思ってミンチにしていたのは仲間だったんだから、それは理解に苦しむだろう。




「残念だったな、お前が楽しくミンチにしてたのが俺じゃなくて。」




 するとずたずたのボロ雑巾の様な姿になった。ゴブリンシャーマン最後に力を振り絞っり死に際に巨漢のゴブリンに何かを言った。




「……キング、なぜ私を……」




 最後にそう言い残し命尽きる。無慈悲化もしれないが、真琴は言葉をかける。




「お前は、怒ると周りが見えなくなる。おまけに些細なことでキレる。そこを利用させてもらった」




「汚ねぇぞぉ!」



「先に見方を透明化させて、自分が有利に事が運べるように仕向けた、そっちの方が先、これでお相子だ。」


 巨漢のゴブリンは、歯ぎしりをしていた。

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