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zero×騎士  作者: 朧月 燐嶺
第2章 覚醒
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初めての依頼 その2

 「アイリス!!」


 咄嗟の彼女の名を叫んだ!彼女は咄嗟に後方に下がった。アイリスは俺よりも先に目の前のものに着目した。それはさっき倒したマタンゴよりさらに大きいマタンゴだった。その背丈は優に2mを超えるサイズだった。


 そんな大きなマタンゴが地面に倒れている。そして自ら起き上がった。そう、あの時俺がアイリスの名を叫んだ事は彼女にアレを認識させるためだったのだが、彼女は奴の気配を察知でもしたのか、見事攻撃を避けた。あんな巨体に押しつぶされでもしたら、全身の骨は砕けるのが目に見えている。アイリスに何も無くて良かったと、そう思った。


「こいつデカすぎだろ?」


 思わず口から滑り落ちた言葉にアイリスは言葉を返す。


「あれはドスマタンゴよ、」


「ドスマタンゴ?」


 聞いた事のない名前だった。


「ドスマタンゴは、通常の個体よりも大きいマタンゴよ、言わばマタンゴ達のリーダーと言ったところね。

 人前に姿を表す事は中々ないと聞いているけど……何故かしら?」


 アイリスの丁寧な説明のおかげで、奴がなんなのかわ分かった。あとは、どう対処するかだ。見たところかなり気性が荒い、迂闊(うかつ)に近づけば、押しつぶされるのが落ちだと分かる。ならばここは2人で協力して、ドスマタンゴを討伐するしかない。


 どちらかが攻め入っても力負けする。ここは嫌でも協力しないと………。そんな事を悠長にも考えていた、すると突然アイリスがドスマタンゴに攻撃を仕掛けた。


 初段は見事にドスマタンゴの胴体にヒット、それに続けざま胴に二発、三発と攻撃ダメージを与えていく。見事な剣技?といった方がいいのか、華麗な剣さばきの最後フィナーレを飾るであろう最後の攻撃を放つ。最後の一打、渾身の突きだ!今更ながらアイリスが扱う剣は細剣という奴だろう。レイピアと形状は類似しているだろうが、基本的に細剣は戦闘用に特化しており特にアイリスが使っているの、特注だろうか刀身は通常の細剣よりも気持ち太い気がする。


 今思えば蛮族の鉈のような武器を防げていたのも、剣に理由があったからだろう。渾身で放たれた切っ先はかなりの威力を誇るだろう。しかし、俺は、いやアイリスは奴を軽率していただろう............ アイリスの一撃はドスマタンゴの巨体を完璧に貫くことはできなかった。この前の夜の蛮族との戦いと同じ光景がいち早く俺の脳裏に浮かんだ。それはアイリスも同じだった。彼女の表情は驚愕していた。


 ドスマタンゴに顔はないが何となくアイリスを直視して標的を確認したかのような感じだった。アイリスは剣を引き抜こうとしたがやはりだ、やはり抜けなかった。力のおごりがアイリスに窮地を招いてしまった。俺はどおするべきか...わからなかった。ただその光景を見ていた。


 ドスマタンゴがアイリスを押しのけた、アイリスは後方に四、五メートルのけぞった。ドスマタンゴはアイリスに突進を仕掛けた。その巨体から繰り出される突進はイノシシとかと比べ物にならないくらいの威力だろう。アイリスに迫る危機、俺は......!!


 アイリスに近ずくドスマタンゴその間に俺はいた、アイリスならよけれたであろうが何故か体が勝手に動き出していた。俺は見事その体を呈して彼女を救った。ドスマタンゴの助走が少なかったとはいえそれでも体には堪えた。


「くっ!?」


 ドスマタンゴと相撲のような競り合う状態になっていた。ここは引けぬとばかりに、必死に耐えるが、三メートルを超える相手には不利な気がした。ドスマタンゴの馬力に押され気味になりながらも、アイリスの細剣に手を伸ばした。そして力を振り絞り剣を引き抜いた。


「のぉぉぉりゃぁぁ!」


 こっちの踏ん張りは限界に達していた。もうあと数十秒も持たないその時、後方を目で見た。アイリスは進路を外れていた。ならばとすかさず、左わきから抜ける。その時に右手で持った細剣で勢い余ったドスマタンゴを真っ二つに切り裂いた。


「うをぉぉぉああっ!」


 ドスマタンゴは、足が生えた石附の部分と、特徴的な嵩がある部分に分断された。その間もなく後、完全に生命反応を絶った。


「やった やったぞぉ!」


 俺は歓喜に包まれ、大声で叫んでいた。そこにアイリスが近づいてきた。


「!...どうかしたか......あ、これアイリスの剣。これがあったおかげで勝てた。...その、なんか ありがと」


 言葉として伝わったかどうか心配だったが、アイリスは俺から剣を受け取り。


「...ありがとう...」


「え?」


 声が小さすぎてなんといったのかわからなかった。


「なんて言ったんだ?」


「..........」ドスっ!


「いってッ!......急になにすんだよ」


 突然アイリスに脛をけられた。アイリスは答えなかった。あろうことにもう一発俺の脛をけった。


「だからなんなんだよ!?」


 少しきれかかった態度で投げかける俺に、アイリスはため息を吐きこう告げた。


「貴方、無神経って言われない?」


(うぅ......)図星だった。でもここで引き下がったら気分がよくない。ならばとアイリスに突っかかる。

「少し当たってるけど.........そんなことはどおだって言い! 言いたいことがあるならちゃんと口で言え!!」


 俺の言葉がアイリスに火をつけた。


「確かに一理あるかもしれないけど......けど察してほしい時だって誰しもあるのよ」


 アイリスの言うことは一理あると俺も思った。でもそれでは引き下がれず結局この後数十分にわたり口論になった。それ光景を見つけた、依頼人が仲介しその場は収まった。依頼のマタンゴの討伐、そしてイレギュラーな存在、マタンゴたちの親玉ドスマタンゴの討伐も見事成し遂げたことを報告。


 通常ならマタンゴ分の報酬だったが、畑を荒らすことを指示したであろう元締めを討伐したとのことでその分の報酬を頂戴した。


 おかげで二人で、千メガルを等分の500メガルだったはずが、一人1000メガルも報酬金をもらえた。


 この世界では、ギガルとメガルでお金の単位を現すらしい。メガルは銅でできた硬貨で中央には人の肖像画浮かび上がっているが、それが誰かはわからない聞く話によると、この世界を救った前勇者だとか。

 1000メガルで1ギガルだ。100メガルでこの世界のリンゴが一つ買える値段だ。そして1000メガルで1ギガルいう等価のギガル硬貨。それだけの価値だけありメガル硬貨と原材料は同じでも、メガル硬貨よりよりも大きく、前面が銀メッキされている。そのため価格が違うのかもしれない。


  とりあえずお金は手に入ったし次の町まではもつだろう。今から旅に出ても次の町までに夜が更けるらしいので、もう一泊依頼主の家に泊めてもらった。



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