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zero×騎士  作者: 朧月 燐嶺
第1章 選ばれし者
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第18話 旅立ち

気づけば季節は流れ、もう師走に入りました。前回の投稿をいつか見返すと......なんと五ヵ月も過ぎていました。(やばい...なんにもしてない...

投稿が遅れてすいませんでした。それはさておき、本編をお楽しみください。m(_ _)m



「起きたか、真琴殿」


 最初に声をかけてきたのは長老だった。


「おはようございます長老」


 何とも清々しい朝だろう、あの夢除けばの話だが、そんなことよりもアイリスの姿が見えなかった。


「長老、アイリスはどこに?」


「あぁ、アイリスならとっくに剣の稽古にむかったわい」


「剣の稽古に?」


 剣の稽古とは、アイリスはとても熱心なやつだなぁっと思った。


「長老、俺そろそろ行きます」


「なに、もう行くのかのぉ、朝食ぐらい取ってはどうじゃ?」


 長老からの親切な行為に普通なら答えたいけど、俺は一刻も早く元の世界に戻らないと行けない。こんな所でうかうかしてはいられなかった。


「ご好意には感謝します。で…でも一刻も早く元の世界に戻りたいんです」


「そうか……分かった、なら早く支度を済ませなさい」


  「すいません」


 なんだか、悪い事をした様にも思えたが、寝室に戻り荷物を済ませた。と入っても、折れた剣以外何も持ってはいないが、折れた剣を片手に持ち、ドアを開けた。すると長老が手に何かを持っていた。


「それはなんです?」


 とても綺麗な装飾が施されている。何かを持っていた。


「これを持ってゆきなさい、真琴殿」


 長老から手渡される。


「これは?」


「これは、剣の鞘じゃ、残念ながらこの剣の鞘ではないが代わりになればっと思ってな、それに、剥き身のまま剣を持ち歩くのは危険じゃからのぅ」


 最後までこの村の長老は優しい人だと思った。その鞘を受け取る。


「ありがとうございます。俺行って来ます!」


 貰った鞘に剣をしまい、腰に装着し終わると。そのまま、走り去っていった。


「…真琴殿の旅路に幸おおからんことを」


 長老は何かを呟いていたが、気に留めることなく、この村のゲートへ向かう。道中、村人から気おつけろよとか、頑張ってとか、声援を送られた。そしてゲートを潜ろうとした時だった。誰かに呼び止められた。足を止め声元へ視線を向ける。それはアイリスだった。


「もう、行ってしまうんですか?」


「あぁ、俺は元の世界に戻らないと行けないからな」


「そうですか……」


 何故アイリスが俺に突っかかって来るのかが分からなかった。


「何か用があるのか?」


 とりあえず、聞いてみる。


「ええ、実は私も旅に連れてってもらおうと思って」


 アイリスの口から思いもしなかった事が聞こえた。思わず驚いてしまう。


「え?」


「そんな反応するかしら?普通」


 なんか、申し訳なかった。


「ご…ごめん、なら行こうか」


「そうですね」


 俺はアイリスと二人、村を後にして森を抜ける事にした。アイリスは、この森に詳しく森を抜けるまでの最短ルートで進んでいく。

 道中何も話さず、黙々と歩いていく。

 それは数十分にも及び、なんだか痺れをきらす。


「なぁ、アイリス。森を抜けるまではどれほどかかるんだ?」


「………」


 反応がなかった。聞こえてないのかと思い、もう一度呼びかけるも、返事がなかった。

 これは無視というやつか。そう直感した。

 すると途端にアイリスが口を開く。


「あなた…さっきからうるさいですよ それに馴れ馴れしく呼ばないでください。」


 急に怒られ、なんだがしょぼんとした気持ちになった。


「す…すいません でもさ俺達は旅を共にする仲間だろ?」


 その言葉にアイリスは即座に罵倒する。


「勘違いしないで貰えますか?私とあなたは、仲間でもなんでもありません!貴方とは街につくまでの仲です」


「そこまで言うことないだろ?旅に着いていきたいって言ってきたのはそっちだろ!?」


「誰も貴方の旅に着いていくなんて言ってません。私は私の旅をするそれだけです」


「そうかよ、なら好きにしろ!」


「ええ、そうさせてもらいます!」


 いきなり険悪なムードになってしまった。元の世界でも、この世界でも俺は変わらず人付き合いが下手だな。それに大抵こういった異世界ものならなんか、不思議な力を貰ってもいいはず。俺ときたら、なんの力もない普通の状態でここに飛ばされてしまった。老い先がとても心配だ。


 それから森を抜けるまで、俺とアイリスは一言も喋らず進み続ける。最初は木々が生い茂り、道など連想させないほど程だったが、次第に木々が減り、歩きやすい森になった。道中モンスター討伐禁止などの看板が目に入った。最初に言ってた、討伐禁止区域というのに納得が行った。さらにあつき続け、足がだいぶへこたれて来た頃、ようやく森を抜ける事が出来た。


「やっと、ぬけれた〜」


「………」


 やっぱりアイリスは無反応だった。それでも1つ聞きたいことがあった。

「なぁ、アイリス ここから最寄りの村か町までどれくらいの距離なんだ?」

 アイリスは答える。


「……だいたい、半日程度よ」


「え、そんなにあるの?」


「……ええそうよ、嫌なら帰れば」


 帰れるかぁ!元の世界に戻るために、この世界を旅することになったのに、帰れるんならこんな世界こっちから願い下げだっての。


「なぁ、歩いていくのか?この距離を」


「……そうしたいならご自由に」


 どんどんアイリスの態度が冷たくなっていく気がする。


「さっきから、アイリス、アイリスって、私の名前を気安く呼ばないで!」


「なんか…すいません」


 こうなると謝るしか選択肢はなかった。


「それならさ、なんて呼べばいいんだ?」


 アイリスは少し考え込む。


「……せめてさんを付けなさい!」


「は…はい、アイリスさん」


 するとアイリスは馬車が通りかかったのに気づき、馭者に何かを尋ねた。

 すると荷台に乗り込み、馬車は動き出す。

 その光景を見てすぐさま馬車の真ん前に、立つ。そして馭者の人にお願いする。


「お願いします、俺も乗せてください」


「いや〜でもなぁ、この嬢ちゃんが自分だけでいいって言うから、俺は別に構わないんだけどさ」

 そうか、ならアイリスに頼むしかない。


「アイリs……アイリスさんいえ、アイリス様お願いです。俺を乗せてください!」


「嫌です」


 キッパリと断られる。


「そこを何とか、」


 俺は土下座までして、頼むなんでこうなっちまったんだよ!?心で囁く。


「それはなんですか?地面に頭を擦り付けて?」


「え?」


 えぇぇぇ!?まさか土下座を知らないのか?


「いや、これは俺が元いた世界でお願いする時や、謝る時の最終手段(ファイナルフォーム)だ」


 アイリスはやれやれ、と言った顔で俺にこう告げる。


「……しょうがないですね、馭者さん乗せて上げてください」


「はいよ!」


 何とか馬車に乗り、町まで行けることになった。馬車に乗るのは楽だでも見る景色が味が無さすぎて、どうにも暇なものだ。スマホも電子機器もなんにもないこの世界で俺はやって行けるのか、そんな事を思いながら、変わらない草原の風景を見ながら眠りこける。



少し字数がもの足りなかったり、誤字脱字などの意見がありましたら感想の方でお書きください。

こちらとしても大いに助かります。

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