第17話 一晩
最近、ますます暑くなってきましたね。皆さんお体にはお気おつけ、 ( ;´ω` A;)ダラダラ
真琴、アイリス、長老の3人は、家まで戻った。真琴は聞こうとしていた事を結局聞いていなかった事を思い出し、長老に尋ねた。
「長老、そう言えばなんですけど、色々と邪魔が入って結局混血種|リジンヌ|の事や聖痕の事を聞けなかったので聞かせて貰えませんか?」
そう言えばそうだったなという表情で真琴に話しかける。
「それもそうじゃな、じゃが今日は夜もだいぶ老けた。話は明日にせぬか?」
それもそうなのだが、気になったままではおちおち寝てもられない。どうやってでも聞きたいのだ。真琴の意思は揺らがなかった。
「そうかも知れませんが、俺は今知りたいんです。それに明日にはここを出る予定ですから」
「なんと!真琴殿もうこの村を出ていってしまわれるのですかな?もう少し長居しても構わんのじゃがな」
長老はとても親切な人だとそう思った。でも、元の世界に俺は戻らなきゃ行けない。親の事だったりとか色々心配事がを残したままだから、今の俺はここで甘えてる暇なんてない。
「親切な心遣いには、感謝してます、だけど俺にはやらないと行けない事があるんです。」
「そうか、なら話そうかのォ」
真琴はさっきと同じ部屋で椅子に座ってまった。そして、長老とアイリスも同じ椅子に座り話は始まった。
「どこからじゃったかのォ?」
長老の疑問に対して真琴は即座に、
「聖痕からです。」
と答えた。
「そうじゃったな、聖痕からじゃったな。オッホン!聖痕とはこの世界で、生まれながらにして、持つ痣のことじゃ」
「痣?」
長老のいう生まれながらにして、持つ痣とはなんなのだろう
「そう痣じゃ、アイリス」
長老はアイリスに指示を出す。
すると、アイリスが左手をだし、服の袖を肘まで捲るそして、こちらに見せる。すると、左腕には風のような刺青、痣があった。真琴は驚きのあまり言葉が出なかった
「これが…聖痕!」
「そうじゃこれが聖痕じゃ、実はこの聖痕はワシのも同じものがある、この村のもの全てがこれと同じ模様を左手のどこかしらについているのじゃ」
「それは、この村の風習か何かなんですか?」
真琴の問に長老は答える。
「いいや、それは違う、この聖痕はこの世界に生きる者に誰しもあるものなのじゃ」
「この世界に生きるもの全て!?」
真琴は聞かせる事に驚いて、整理が付いていなかった。
「その通りじゃ、まずこの世界には、基本となる5種族がおるのじゃ、火を司る混血種。水を司る魚人種。土を司る小人種。雷を司る鳥人種。そして我ら風を司る妖精種じゃ」
いくら聞いても、飲み込むことが出来ない。そんな時だった。
「真琴殿、辛抱して聞いてほしい、お主には分からぬ事だとは100も承知じゃ。じゃがお主は知らなければならない。お主はこの世界を変えうる存在なのだからのぉ」
「俺が、世界を変えうる存在?」
余計にわけが分からなくなった。でも、長老は至って真剣だった。
「そうじゃ、お主が蛮族を倒した時に見せたあの力は正真正銘じゃ。」
「そんな事ないですよ……たまたまですよ…あんなの」
ドン!っと机を叩く音が聞こえた。
「真琴どの、そなたの力は確かなものだ、それをまぐれなど言ってはいけない!それにじゃ、真琴殿がそうである確信があるからわしは言っとるのじゃ!」
確信とはいったいなんなのか?
「確信?」
「そうじゃ、この世界に昔から伝わる話しじゃ、『この世に災い降りかかりて、空闇に染まる時、白き力を纏い災い打ち祓いて、この世の光取り戻さん』」
「その昔話に、俺が救世主なんて感じはないですけど?」
皮肉にも俺は、長老の言ったことを貶した。だが長老の話にはまだ続きがあったようだ。
「実はこの話にはこんな逸話が存在するのだ、『世界を救いし勇者、その手痣なし……その勇者、異界より来たれる』という逸話じゃ、今のお主と重なるであろう?」
確かに、この話は俺と類似してる事はあった。でも、仮にでも逸話だ本当かどうか分からない。
「第一それは逸話のはずです、本当かどうかなんて分からない」
「いいや、他にもまだあるのじゃよ」
他にもまだある。一体何なのか?
「………」ゴクリ
思わず固唾を呑んだ。
「それは、お主が持っている剣じゃ。ついさっき思い出したのじゃが。その剣は先の話の勇者が残した剣なのじゃ。それをお主が抜いた。詰まりは、お主こそ選ばれし者という事じゃ」
「俺が……選ばれし者?」
確かにそれなら納得が行く。ガヴィルが俺を送り出した事。全てにおいて納得が行くかもしれない。でもそれだけで俺が伝説の勇者で魔王を倒すなんて早合点には到れない。
「確かに長老の言った通り、選ばれし者なのかもしれません。でも、俺にはこの世界に来た明確な理由がある。
この地に有るとされる、双欲ノ獻角を探しに来た。だから魔王は倒せない。」
その言葉を聞いて長老は少し俯いた。アイリスは今までずっと無言で顔色人使えずに黙っていた。それから少したって長老が何かを言い出した。
「真琴殿の理由は承知した。確か北の山にいるグラウ龍の、角が何でも願いを叶える物と言われておる」
もしかしたら、それかもしれない。そう思った。
「ありがとうございます。」
「いや、ええんじゃよ、真琴殿の気も考えんですまんかったのぉ」
なんだかこっちが悪い気がした。
「いや、こちらこそすいません。お力になれなくて」
「ちょっといいかしら?」
今まで無言だったアイリスが急に話し出した。
「もう寝ませんか?」
ちょっと拍子抜けだった。
「それもそうじゃな、すっかり夜も老け過ぎてしまった。真琴殿今日はゆっくり休んでおくれ」
「あ、ありがとうございます。」
程なくして2人は、俺が寝泊まりする部屋を後にした。
「はぁぁ〜〜 疲れたぁ〜」
ベットに倒れ込み、今日の一日あったことを、振り返った。本当に色々あった。訳の分からないものに、異世界に送られ、剣を折って、敵倒したりとか。
異世界生活一日目なんかハードだったような。真琴はため息を付いてテーブルの上に向う。テーブルの上に置いてあったランタンをベッド脇の小さなテーブルの上に起き、ベッドへと寝っ転がる。家のベッドとは違いなんだが固くてホコリぽかった。
真琴はランタンの火にフゥーと息を吹きかける。薄明かりだった部屋が真っ暗になった。ランタンの燃料が燃えた臭いが鼻に漂いながら、虫のざわめきを耳にしながらその日を終えた。
………またこの感覚だ…………
…何とも説明が出来ないこの感覚。俺はゆっくり目を開けた。やはり白だ。そこは真っ白だった。だとするならばいるはずだアイツが……
「いるんだろ?ガヴィル!」
「よく察したな神宮寺 真琴」
当たり前だ、こんな白いところあんたの他にいない。
「当たり前だ、それより何かようか?」
「うむ、お主の生存の確認と、言い忘れていた事を言いに来た。」
言い忘れた事?一体それはなんなのか
「なんだ言い忘れたことって」
「それはお主に付けた加護のことだ」
「か、加護?」
そんなものつけられた覚えはないが、
「そうだ、お主がそちらの世界の者と会話ができるのは我の力のおかげだ。そしてお主の力を少し通常より上げておいた。まぁ、それにおいてはお主の基礎の力は平均よりも、かなり高かったゆえ必要はなかったが。我からのささやかな祝福だ。」
祝福って……という事はあの力も___。
「ガヴィル、俺が蛮族と戦った時に剣から出た微量な光もお前の力なのか?」
その回答にガヴィルは。
「いや、あれはお前自身の力だ。神宮寺 真琴貴様の内なる力が目覚めつつある証拠だ。」
「あれが俺の力…」
「だが、己の力に過信するな、力に過信するものは、力に飲まれ自滅する。」
なんとおぞましい事を言うんだ。そう思った。
「神宮寺 真琴これだけは忘れるな、貴様の心に光があるなら…その光を見失うな。光を見失わない限り希望は何時でも、生まれ宿り続ける。」
ガヴィルが言いたいことはわかったと思う。
「では、そろそろ時間のようだ、さらばだ」
「お、おい、ちょっと待ってくれ!」
一瞬にして世界は黒に染まった。そして…
「のわぁぁぁ!」
目覚めた。なんとも目覚めの悪い。汗が止まらず、心臓が高鳴っていた。辺りに耳を澄ますと鳥のさえずりが聞こえ、外からはガヤガヤと賑わう声が聞こえる。俺は布団から出て、ドアを開けた____。
次回から第2章に入るとおもいます、
是非これからも見ていただけたら幸です。




