第11話 少女
そのすきにスライムは逃げていった。真琴は叫び声の方向を向くと、そこに居たのは。
金色の髪の少女だった、俺はその少女の姿に目を奪われた。長身でスタイルもよく、薄緑を基調とした服がこの森にとても合った独特な雰囲気を漂わせていた。よく見てみると、彼女の耳はとんがっていた。これがかの有名なエルフという種族なのかと真琴は見蕩れていた。
そしてそのエルフの少女が、俺に近ずいてくる。1歩1歩近づくにつれて胸の鼓動が高鳴る、たがそんな感覚はすぐに消え去る。"パチン"という音をたて、地面に尻餅を付く。
うつつを抜かしていたためか、俺は理解が出来なかった。しかし頬に残された痛みとともにじんわりと怒りがこみ上げて来た。
そして俺が物申そうとすると。
「貴方何を考えてるの?ここは討伐禁止区域よ、それを分かってやってるの?」
(はぁ?)
物申すとか、その前にこいつは何を言ってるんだ?俺の怒りは疑問へと変わった。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、お前はいったい何を言ってるんだ?それに、討伐禁止区域?なんだそりゃ!?」
彼女の言っていることはいまいち理解ができていない。すると彼女が。
「貴方こそ、何を訳の分からいことを言ってるのよ?まさか!?」
突然な驚きだった。彼女が最後に言ったまさか!?それが気になりこう返す。
「そのまさか!?てなんだよ?」
急に俺を睨みつけこう告げる。
「貴方魔王軍ね!」
「はぁ?魔王軍!?」
またもや訳の分からないこと言う。魔王軍?一体全体それが俺となんの関係があるのか検討も付かなかった。
すると腰に携えた剣に手を当て俺にこう告げる。
「魔王軍なら貴方を切るわ!!」
彼女の目は本気だった。剣もまともに振れない俺に賞賛などない。下手に刺激すれば死は免れない。俺は出来るだけ奴の逆鱗に触れなおように気おつけこう告げる。
「俺は魔王軍なんて知らないし、属した覚えもない。それに、ここに来て右も左も分からないタダの旅人だ」
彼女の反応は、俺の言ったことを信じていないそんな様子だった。ならばと俺はこう告げる。
「もし俺がその魔王軍とやらなら、こんなお喋りしないで君をすぐに殺してるはずだとお思うけど?」
確かに!彼女はそんな表情をしていた。
「まあ、いいでしょう貴方を信じます。でもまだ完全に信用したわけじゃないから。もし貴方が少しでもおかしな素振りを見せれば、問答無用で切るは!」
殺気を帯びた回答だったが、まあよしとしよう。ひとまずはここがどこなのか聞き出さなければならない。
「ひとつ聞きたいことがある」
「何ですか?」
「ここはいったいどこなんだ?」
俺の問いかけに彼女が答える。
「何を言いだすかと思えば、場所とは…
貴方とんだおマヌケさんね?ここがどこだか分からなくてどうやってここへ来たの?」
完全に皮肉だった。ここで言い返したいのはやまやまだが、どう説明したらいいのやら?
「あのだな…あの、その、え…えっと?」
(ダメだなんて説明したらいいんだ?)
どうせ俺がこことは違う別の世界から来たと言っても信じてくれないだろうし、それにいい言い訳も思いつかない。まさに八方塞がりだった。すると彼女が
「もしかして、道中で頭でも打ったの?」
「まさか、そんなことあるッ!そ、そうなんだよ。実はここに来た記憶が全くないんだよ」
俺は慌てる様子を見せ彼女に嘘をついた。すると彼女は
「何か嘘くさいわね?それにその慌てよう、やっぱり貴方嘘をついてるわね?」
(嘘だろお前?どんだけ感いいんだよ)
まさに図星だった、だが真実を打ち明けても信じるわけもないならばこのまま突き通すしかない。
「う、嘘くさくなんかないっての、俺って誰だっけ?」
またもや嘘をつく。
「やっぱり貴方嘘をついてるわね!本当のことを言いなさい」
剣に手を当て俺を睨みつける。流石に芝居が下手だったか、もう隠し通す事もできない。ここは本当のことを言うしかない。
「さっきのは嘘なんだ。俺は記憶喪失なんかじゃない!本当のことを言うと俺は、こことは違う別の世界から来たんだ」




