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第2話 ゲームの中

広大な緑の大地に、私は立っていた。


あれ?可笑しいな?私は自宅で休憩中だったはずなんだけど?どうして室内じゃなくて外にいるの?


自分の服を見れば、学校の制服を着ているし、靴も履いていた。


___まるで、自分の意思でここに来たかのように。


取り敢えず、私は遠目に見える城のような建物を目指して、歩き出すことにした。


「帰ったら青葉締める。」


恨み言を吐きながら、ひたすら足を動かした。


__暫く歩くと、段々城が近くに見えてきた。


そして、複数の人の気配に気づくと、私は歩みを止める。


「何時まで人の後をつける気?」


後ろの草むらを、睨みながら殺気を放つと、ゾロゾロと複数人の小汚いおっさんが現れた。


薄汚れたグレー色のマント、ボロボロで所々破れたズボン。


___まるで盗賊みたい。


青葉が何をしたかは未だに不明だけど、此処はおそらく、ゲームの世界とでも考えたほうが正解だろう。だったら、この盗賊どもを倒せば、ドロップアイテムとやらでも手に入りそうなきがする。


構えを取ろうと体を動かす。


「構えるというコマンドは選択できません。」


ん?


突然頭の中に響いた声に、体が固まる。


そして、構えを取ろうとしても、私の体は一向に動かなかった。少し時間を置いてから、構えを取ろうとすると、


「構えるというコマンドは選択できません。」


の音声が頭の中で響くだけだった。


ふざけるなよ。最強と呼ばれた私が、構える事すら出来ないなんて、こうなったら逃げるしかないか。


そう思い、一瞬で倒せるであろう、盗賊の集団を屈辱的な思いで、睨みながらも私は逃げようと、足を動かした。


「逃げるというコマンドは選択できません。」


再び頭の中で響いた声に、帰ったら青葉を殺そう、と迷う事なく決心した。


襲ってくる盗賊の集団を前に、私は動く事すら出来ない、これがゲームオーバーってヤツなのだろうか?


そして、動けない体にイライラしていても、無情に盗賊達は私に向けて、武器を振り下ろした。


___やばい、これ喰らったら死ぬやつだ。


ゲームの中とはいえ、自分が殺されそうになるのは普通に怖い。


「サンクチュアリ!」


低めの声と共に、私の目の前に半透明の薄い壁が現れた。思わず声の方を見れば、そこには金色の長い髪の男が立っていた。

 目が合うと嬉しそうな表情というか、何処か恍惚としたような顔をしている。

助けてもらっておいて、ゾクリと悪寒が走ったのは内緒だ。


「初めまして巫女様。私、名をジャンヌ・ダルク、貴女様の守護者に御座います。」


うん、何事?


青葉のやつ、私にいったい何のゲームをプレイさせてるんだろう。歴史上の人物出てくるわ、(女のはずなのに男だけど)なんかバリア張れるし、なんかイケメンだし、本当に何のゲーム?


「さっ、彼方の城に向かいましょう。」


ジャンヌ・ダルクと名乗った青年に手を引かれ歩き出した。


後ろを振り向けば、いつの間にか盗賊達は全滅していた。いくら、現実逃避をしていたとしても、ボーッとし過ぎたな、と反省しつつも、この男に殴りかかろうとしても、頭の中に、「おお、自分の守護者に攻撃を仕掛けようなどと、もってのほかです。」

と、忌々しい声が響くのみだった。

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