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感染者のことは  作者: 獅子師詩史
第三章
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西洋協会

「では、今日という記念すべき日に乾杯」


 空を飛ぶ巨大なヘリの中、タキシードを身に着けた男はワイングラスを掲げ、言う。 それに合わせてグラスを掲げるのは数人の人物であった。


「いやはや実に長かったですな。 私としましても、今日この日は実に感慨深い」


 眼鏡を掛けた初老の男。 名は、ロベルト=ザック。 西洋協会副取締役の男だ。


「アンドレイの調査によりゃ、気骨ある奴が多いんだろ? ちったあ楽しめりゃ良いが」


 一回り巨大な体を持つのは、コデルロス=ランベール。 西洋協会戦闘部隊部隊員の男である。


「わたしたちはなんでもいいかな。 ってこれお酒じゃーん! 飲めないし!」


「ぶどうジュースもあるからそれにしよ、健康的」


 並んで座るのは、二人の少女。 元気の良いのは姉であるリリー、銀髪に金眼。 そしてそんな姉を諭すように言うのが、妹であるアリスだ。 彼女は金髪に銀眼であり、共に西洋協会()()の少女たちである。


「ともあれ、今日この日にオレがこの地に足を置き踏みしめてやることに感謝してもらわねばな。 拠点制圧であればオレが率いる他ない。 このオレの持つ文字で、この地を我が物顔で出歩く全てのクズ共に、正義の鉄槌だ」


 男の名は、ラックス=リーライ。 西洋協会取締役にして感染者。 文字名――――――――『国士無双』。


「歯向かう奴らは根絶やしにする。 オレに付いて来る奴のみが残れば、それはイコール良い世界だ。 神人の家かチェイスギャングか対策部隊か知らんが、邪魔者は全て排除し制圧する。 今この時を持ち、ミッションスタートだ。 目標は関東地区全域、日本に住まう家畜共に支配というものを見せてやろう」


 西洋から来たる者たちは、その強力な爪をその地へと突き立てる。 だが彼らは知らない、その日本にどれだけ強力な感染者たちが住まっているのかを。


 しかしそれは、逆もまた同じことを言える。 日本に住まう感染者たちもまた知らないのだ。 西洋協会という巨大な組織、そしてそこに所属する感染者たちのことを。


 ――――――――脅威指数というものがある。 それらはその組織が平和を脅かすのに対しどれだけの脅威を持っているかを数値化したものであり、高ければ高いほど危険な組織ということになる。 チェイスギャングであれば脅威指数8、龍宮寺率いる鴉であれば脅威指数4、人権維持機構であれば脅威指数5、神人の家であれば脅威指数8だ。 これらは対策部隊が独自に決めているもので、その自らの脅威指数は8と見られている。


 そして、西洋協会。 彼らの脅威指数は10。 もしも西洋協会と交戦することになった場合、甚大な被害が出るということを表している。


 そんな『もしも』は、奇しくも今、現実になろうとしていた。

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