第十章:崩壊
とりあえずミステリです。残念ながら犯人当てではないので、最後に犯人が分かった時に、伏線が敷かれてないではないか、と文句を言わないでください。ただ、犯人を特定する証拠がなんであるかは、頑張ればわかると思います(たぶん)。楽しんで読んでくれたら幸いです。
「誰がやったんだよ! いい加減白状しやがれ!」
金髪の男がこの状況にこらえきれなくなったのか、怒鳴り声をあげた。
しかし、その声に答える声はなく、他のメンバーは気まずそうに顔を背けるだけだった。
その態度にさらに怒りがわいたのか、金髪の男はテーブルをたたき、再び怒鳴り声をあげた。
「ああ分かったよ。どうせ犯人は名乗り出るつもりはないんだろ。だったらここでいくら話し合ったところでもう意味はねぇよな。ここで探偵の真似ごとをしたところで、誰が本物の犯人なのかなんて分かりっこねぇことは、もう十分に証明されたはずだしよ。俺は帰るぜ。もうこんな人殺しのいる場所になんていたくねぇからな」
それを聞き、茶髪の女が驚いて声をあげる。
「ちょっと待ってよ、あなた一人だけ帰るなんて。あの死体はどうすんのよ。まだ私たちの携帯も取り戻せたわけでもないし、この娘のこともあるわ。このまま逃げ帰ったら……」
「知るかよそんなこと。それに携帯は取り戻せなくても、あの金庫ごとどっかに埋めちまえばいいだけの話だろ。携帯は惜しいが、また買えばいいだけの話だしな。その女の処分はお前らに任せるわ。俺のことさえ喋らせないようにしといてくれりゃあ、別にどうしたって構わねぇから」
誰もがこのまま彼の好きなようにさせてはいけないと思いつつも、彼の言う通り現状を打開する方法を思いつかず、再び口をつぐんでしまう。
そこで、仕方なく、俺は口を開いた。