ひとつかみの砂
遠くを見つめる、はるか遠くを
目の前に広がる広大な更地に何の気を引くものもない
このみちを歩めば歩んだだけの地にたどり着くだろう
全く景色の変わらないこの地に
足元にある砂を一掴み掌に載せ風に聞いてみる
轟音と共に近づいて来る風が目の前で止まった
この砂を落とすことをためらっているように
なんの変哲もないただの砂、でも今僕の右掌の上に
落ちれば二度と見つけることはできない
僕は咄嗟に握った
どこにでもあるような砂を
その瞬間、勢いよく吹き荒む風で確信に変わった
握りしめることに意味があるんだって
掌にあるのはなんでもいいんだ
落とさないようにしっかりと力一杯握りしめて離さない
すべてを




