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業火紅蓮少女ブラフ/Flash Back Rock'n'Roll  作者: 枕木悠
B-SIDE 天体世界望遠機械の線描(Sister,Find Out the Twilight View)
18/40

シスタ、ファウンダウト・ザ・トワイライト・ビュウ/三

 さて、ユキコと天球儀について話した一週間後の錦景市の日曜日の午後一時五分前の空は、埃が薄く掛かったように雲が散っていて太陽の光は星の光のように小さくなって地上に届く。

 ユウリはそんな空の下、錦景市駅前の北改札の出口にあるトリケラトプスのオブジェの前でコウサクのことを待っていた。正しくはコウサクと、彼の従姉妹のシオリという人と待ち合わせをしていた。日曜日に三人でどこかに遊びに行きましょう、という予定になったのはユウリが少女に変身したコウサクの姿を一度確かめておきたかったからだ。コウサクがその姿で外を出歩くためにはシオリの存在が必要で、二人きりであってもよかったのだけれど彼女も来ることになっていた。それから出来れば今日、ユウリはコウサクに企みを伝えようと思っていた。

 トリケラトプスのオブジェの周りは待ち合わせにうってつけの場所で、日曜日のこの時間はすっごく混雑していた。ユウリは人の多さにげんなりしながら、たまに馴れ馴れしく声を掛けてくる狂った脳ミソをした莫迦男を激しく罵倒しながら、トリケラトプスの背中で日向ぼっこをする黒猫の背中を撫でながら、ユウリは二人のことを待った。

 コウサクとシオリは約束の時間を十分超過してから登場した。

「遅れてごめんね、國丸さん」

 声を掛けられ黒猫の背中から手を離しユウリはそちらに顔を向けた。ユウリは「わぁ、」と丸く口を開けて声を上げた。綺麗な双子がそこに立っていたからだ。二人とも艶のある黒いロングヘア。前髪は綺麗に切りそろえられていて人形のようだった。メイクの方法は完全に同じで顔の形もほとんど一緒だから見分けが付かない。二人ともユウリを惑わすように同じ表情で控えめに微笑んでいる。服はお揃いだけど色が違っていてユウリから見て左に立っている方は淡い緑色のパーカとオレンジ色のロングスカートで、右に立っている方は淡いピンク色のパーカと灰色のロングスカートという装いだった。背丈も一緒で見分けがまるで付かない。「凄い、どっちが鷹村君なの?」

「本当に分からないの?」ピンク色の方がそう聞いて悪戯っぽく笑った。

 それがコウサクの声に聞こえたのでユウリは「あなたが鷹村君?」と聞いた。

 ピンク色は舌をペロッと出して「違いますよ、國丸さん、」と歯を見せて笑う。そしてピンクは声色を変えて言った。先ほどはコウサクの声を真似ていたようだ。「私が吉原シオリです、ピンク色のパーカがシオリです、よろしくです、國丸さん、緑のパーカを着ているのがコウちゃんです」

「本当に分からなかった?」緑色のパーカのコウサクは照れて笑っていた。「僕に気を遣ってくれているんじゃなくって?」

「気なんて遣ってないよ、本当に分からなかった、双子だと思った、君たち、綺麗な双子だよ」

「嬉しい、」コウサクは胸に手を当て気持ちを素直に声に出した。そしてほっと息を吐いた。それらの仕草を見ても本当の少女に見える。「でも、本当にドキドキした、もう一日分のエネルギアを使っちゃったていう感じだよぉ」

「すっごく可愛いよ、コウちゃん、」ユウリはちょっとまんざらでもない感じで、女の子と特別に仲良くなりたいという気持ちを込めて、優しく、言ってみた。「私もコウちゃんって呼んでいいよね?」

「あ、うん、もちろん、もちろんだよ、それじゃあ、僕も、」コウサクは前髪を押さえながら言う。ピンク色の彼の頬にちょうどいい具合に冷たい微風が吹いていた。それは彼にとっての新しい風だ。「僕も國丸さんのこと、ユウリちゃんって呼んでいいよね?」

「ユウリちゃんなんて、なんだか新鮮」

 ユウリは無邪気に笑いながらコウサクのことを同志だと思う。


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