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ハル・クロフォードの場合  作者: まひる
吸血鬼
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■□■


 居心地悪そうに周囲を見回すハル。


 地下水路から無事脱出し、ハルは今、エディーの屋敷に招待されている。


 アラン邸はこのオークショットでも大きな屋敷であり、かなりの財力がある事をそこかしこに見せていた。


「やぁ~、本当にありがとうございました。…私はここの(あるじ)、ベンジャミン・アランです。この度は我が息子を魔物の脅威から救って頂き、誠にありがとうございます。」


 大きな声を上げながら入ってきたのは、この屋敷の(あるじ)、ベンジャミン。その後ろにはエディーを引き連れている。


 その金髪青眼はエディーそっくりだが、何しろ体型がおかしい。首が見えない程の肉付き、(くび)れを知らない胴体。その足は己の体重を支え切れず、車輪のついた椅子に座っての登場だった。


 エディーは母親似なのだ、と無理矢理思う事にする。


「いえ、俺は依頼(クエスト)遂行(すいこう)しただけです。」


 ハルは淡々と答えた。


 ハル達が座るフカフカなソファーの周囲には、ここの使用人らしい同じ様なお仕着せの衣服を身に(まと)った、見目(うるわ)しい女性達が大勢いる。


 だがここにいる誰もが、黒髪黒眼のハルの容姿と黒の魔術師という二つ()(めずら)しがり、興味深そうにその瞳を向けていた。


 早くもここから出たいと思う気持ちがハルに()き出ても、誰も文句は言えないだろう。


「この度の依頼はオークショットの町長から出ているようですが、息子を救って頂いた私の方からも…少ないですが、どうかこれをお納め下さいませ。」


 ベンジャミンは胸も腹も張ったまま、視線だけで使用人に何やら持ってこさせた。


 使用人がテーブルに置いたのは、布に包まれたもの。


「500万ゴールドございます。どうかお納め下さいませ。」


 ベンジャミンの下卑(げび)た笑いが気に入らないが、今回はハルも体力回復薬(リカバー)を使用している為、この金額には引かれる。


 体力回復薬(リカバー)Lは一つ100万ゴールド。体力回復薬(リカバー)Mでも1万ゴールドで販売されていた。


 ちなみに町長からの依頼(クエスト)報酬は500万ゴールド。Bランクの報酬金最低額である。


 まだBランクになったばかりのハルは、依頼(クエスト)ボードの中からリーダーのハンターランクがB以上のパーティー向けに出されていた依頼(クエスト)を受諾したのだ。


 受付のエリン・ハートリーに驚かれていたのは、その為。パーティー最大人数は6名だが、通常4~5名の班が多い。


 そしてそういった依頼(クエスト)を一人で受けるのは、己の能力を過信したバカか、単独行動(ソロ)のハルくらいだった。


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