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ハル・クロフォードの場合  作者: まひる
吸血鬼
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「何だと?か、記録媒体(カラー)が本物とは限らないだろうがっ。提示(ていじ)して見せろよ!」


「何で俺が…。」


 怒りに任せて怒鳴り付けてくる男に、ハルは大きな溜め息をつく。


 だが記録媒体(カラー)を操作する事は、身の潔白を明らかにする確実な方法だった。登録者でないと情報を見る事が出来ないのだから。


 それを分かった上での男の言い分なのだが、素直に応じるハルではなかった。


「ばっかじゃね?何をイイ気になってるんだか知らねぇけど、少しは喧嘩を売る相手を考えた方が良いぜ?」


 あまりの横暴さに、さすがにハルがキレる。


 普段は丁寧語で他者と接するのだが、このような相手には不要だと判断したようだ。


「な、何をっ?!」


「おっさんさぁ、自分の力量を分かった上での発言だよねぇ?」


 怒りで顔を赤くする男に対し、ハルはいつもの人好きする笑顔とは違う、黒い笑みを浮かべる。


 普段は明るく楽観的に装っているハルだが、「目には目を」を信条としていた。そうでなければ、屈強な男ばかりのハンターの中を、年少の身で渡ってはいけない。


「お前みたいなチビに、この俺が負ける訳がないだろうっ。」


 単純に体格の差だけで考えているようだ。


「おっさん、魔法は使える?見たところ、武器はグラディウスのようだけど。」


 相手の装備を観察するハル。


 チラと見る限り、剣闘士が主に用いたとされる肉厚・幅広の両刃の刀身を腰に下げている。だが、感じる魔力は大した事がなかった。


「当たり前だろう、俺はハンターだぞっ。」


「あ、そ。んじゃ、少しだけ遊んであげる。」


 いきり立つ相手に、ハルは更に追い打ちをかけるような言葉を使う。


「何だとぉ!」


 完全に(あお)られた男は、ハルめがけて即座に抜刀して切りかかった。


 それを易々(やすやす)と()けてみせたハルは、両の手を腰ポケットに入れたままである。つまりは、徹底的に馬鹿にしたかった。


「この…、ちょこまかと!!」


 案の定、更に力を込められた刀身は大振りな軌跡を描く。


「下手くそだなぁ、ちゃんと狙えよ。良くそんなんで魔物討伐が出来るねぇ?」


 くくくっと笑いながら、ヒョイヒョイと軽い身のこなしで男の攻撃を()けるハルだった。


「くそっ、さっきから()けてばかりじゃねぇか!」


 頭に血が(のぼ)っている男は、当たり前の事を叫んでいる。


 町中の路地で、両刃の剣を生身の人間相手に振り回している現状を、全く認識していない男。


「何、そんなに当たってほしいの?」


 そして男の言葉に、ハルは動きを止めた。


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