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ハル・クロフォードの場合  作者: まひる
吸血鬼
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■□■


 ハルは、ギルド街区のハンターギルドに到着する。


「な、何だよ、それ!?」


 入ろうとしたらギルドの誰かにぶつかりそうになった。


「あ…、ごめん…なさい。」


 だがハルはそれを誰とも確認する事なく、軽く頭を下げて謝罪する。


 ぶつかりそうになった事を謝罪したつもりだが、違う感情が不意に沸き上がった。


 誰に…謝りたかった?


 その自分の中の疑問に答える事が出来ず、そのまま入口に立ち止まるハルである。


「邪魔なんだけど、バカハル。…何さ、おかしな顔して。」


 その後、ハルの背を押すようにギルドに入って来たのはジミー。


 だがその顔を見て、様子のおかしいハルに首を(かし)げる。


「…何でも、ありません。」


 何とかそれだけ答えると、ハルは左肩にジェフを乗せたまま依頼(クエスト)ボードに歩み寄った。


 そして(おもむろ)に一枚の依頼(クエスト)用紙(カード)を取ると、記録媒体(カラー)と共に受付のエリン・ハートリーに差し出す。


「これを。」


「は~い、少しお待ちくださ~い。ん?あの、これをお一人…ですよね。」


 内容を確認したエリンが一瞬迷うも、相手がハルだという事で承認印を()して返した。


 通常、依頼(クエスト)の受諾方法として、受付の承認印が必要なのである。


「どうぞ。お気を付けて。」


「ありがとう、ハートリーさん。」


 ハルはいつもの笑顔を見せ、そのまますぐギルドを後にした。


「何だか…、いつもと違います…よね?」


 首を(かし)げるエリン。


「そうだねぇ。いつも変だけど、今日は一段とおかしいね。…いつもより、もっと作り物臭い。」


 同じくハルの背を見送ったジミーは、エリンの独り言に返答じみた言葉を返す。


「まぁ、だからといって私には関係ないんだけど。エリンちゃん、私はこの依頼(クエスト)を受けるから宜しくね。」


「あ、はいっ。」


 ハルの事を気にしつつも、ジミーは自分用の依頼(クエスト)用紙(カード)記録媒体(カラー)をエリンに手渡した。


 誰であっても、どのランクにいようとも、ギルド内で依頼(クエスト)の受け方は平等なのである。例外があるとすれば、直接ギルドマスターから依頼(クエスト)を受ける場合だけだ。


「私も早くランクを上げなきゃね。いつまでもバカハルの下になんかいられないっての。」


 ジミーはそう言いつつ、拳を握る。


 基本的に単独行動(ソロ)のハルは別として、通常は依頼(クエスト)によってギルド内で簡易的にパーティーを組む事が多いのだ。その場合、必然的にランクが上の者がリーダーになる。


「そうですね。そうやってギルド内の皆さんが切磋琢磨していかれるのは、マスターもとても喜ばれます。」


 エリンがにこやかに応じた。


 実際の能力の差は分からないが、個人個人で得手不得手があるのは当たり前である。各人(かくじん)の能力向上は、ギルド全体のパワーバランスを取る為に必要な事でもあった。


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