78
■□■
「こんにちは~。ロブさん、います?」
王都ギルド街区の鍛冶屋ロブの扉を開けたハルは、店の奥に向かって声を掛ける。
「おぅ、ハル。元気そうだな…って、何だ?その、大きな鳥は。」
顔を出したのは褐色の肌を持つ、茶髪茶眼の大きな体格の男ロブ・コンラッド。
ハルの肩に乗った鷲に思い切り目を見開き、動きをとめた。
「あ、新しい俺の仲間です。ついてくるって言うんで、一緒に行動してるんですよ。ジェフ・オーツです、宜しくお願いします。」
ロブに紹介するように肩を上げ、それに合わせるようにジェフが一声鳴く。
「珍しいな、ハクトウワシ?まだ首が僅かに白いだけだから、3歳くらいか。もう少しすると、頭から肩までと、尾の羽根が真っ白になる筈だ。それでも、完全な大人になるのは7歳くらいらしいけどな。」
「詳しいんですね、ロブさん。…ふぅん、ハクトウワシっていう種類なんだ。」
知らされた情報に、ハルは改めてジェフを見上げた。
現在のジェフは、黒褐色の羽根に部分的な白が混じっている。
「あ、ハル。例のアレ、出来てるぞ。」
「やった!俺、楽しみにしてたんですよ。」
ロブがカウンターの奥から布に包まれた細身の品物を取り出した。
「ほれ。ベースはエスパダ・ロペラだが、コイツは刀身に夢魔の灰刺を練り込んである。」
覆われた布を取り去り、ロブがカウンターに乗せたレイピアをまじまじと見るハル。
エスパダ・ロペラはレイピアの一種で、細身で先端の鋭く尖った刺突用の片手剣である。
「へぇ?凄いじゃないですか、ロブさん。ってか…何か、刀身が揺らめいているように見えますけど。」
「そうだな。エンプーサ素材を惜しみなく使ったから、魅了・麻痺・吸血の特殊能力が付加されている。」
鍛冶屋のロブはそのギルド能力により、武器などの能力値を見る事が可能だ。
「ぅお~、付加価値付きですか!ありがとうございます、ロブさんっ。」
若干興奮気味だが、ハルは笑顔満開で礼を告げる。
「何、これしきの事。…ハルの依頼では、俺も精一杯腕を試せるからな。また何か新しい素材が手に入ったら、俺のところに持ってきてくれよ。」
「分かってますって!俺、ロブさんのところじゃないとダメっすよ。」
支払いを記録媒体で済ませながら、ハルは改めて自分の手にとって見た。
軽くて扱い安い。
ちなみに、記録媒体を専用機に翳す事で支払いが可能だ。金額の大きな武器や防具等の店には、大概支払機が置いてある。
「どうだ?」
「良いっすね。」
手に馴染ませながら、ハルは軽く素振りをしてみせた。




