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翌朝のギルド。
「ご苦労だったな、ハル。試験完了、おめでとう。これで名実共に、Bランクハンターになったな。」
ギルドマスターのアンディから記録媒体を手渡され、ハルは背筋を伸ばして受け取る。
「ありがとうございます、マスター。」
「本当…、まさかソロでこんなに早くここまで行くとは思わなかったよ。けど、私だってすぐに追い付くからねっ。」
後ろから苦々しく声を掛けてきたのはジミーだ。
先にハンター業をしていたジミーだが、追い越されて余計に敵意を向けているように見える。
「そうだな、ジミー。このギルドは質が良い。皆の向上心が高いからこそ、これからも切磋琢磨していってほしい。」
いつもよりも嬉しそうなアンディに、ジミーはそれ以上何も言えなくなったようだ。
「それで、…ディアとフラトンさんは?」
ハルはギルド内を見渡しながら、二人の姿を捜す。
今はまだギルドメンバーが大勢残っている為、クラウディアの名前を公には出来なかった。
「ふむ。二人は正式にハンターギルドBBのメンバーとなった。今日は顔を出さないみたいだが、またパーティーを組む時には宜しくと伝言を受けている。」
アンディから正式にその言葉を聞き、ハルとジミーはホッと胸を撫で下ろす。
彼女達の評価は、同行したハルとジミーにも掛かっていたからだ。
「私はあまりご一緒したくはないけど。…向こうから頼むって言われたら考えても良いかもね。」
腕を組んで、何故か偉そうなジミー。
「ヘイリー姉さんは、案外フラトンさんが気に入ったようですね。恐らく、フラトンさんがパーティーを組むのはヘイリー姉さんくらいでしょうけど。他に貴族出身の人がいませんからね、ここは。」
ハルが僅かな嫌味を込めて、貴族出身だからだと強調する。
「何さ、バカハル。文句があるって言うの?」
「いいえ、とんでもないです。それでは、俺は別件の用がありますので。」
牙を剥いたジミーを躱し、ハルはペコリとアンディに頭を下げた。
「あぁ。行ってこい、ハル。」
「ふん。何さ、偉そうに。」
アンディとジミーの声を背に、ハルはハンターギルドを出て、鍛冶屋ギルドへ足を向ける。
だが、すぐその肩に大きな羽音を立てて飛び降りて来るものがあった。
「待たせたか、ジェフ。」
左肩に乗った鷲に話し掛けたハル。
ギルドの外で待たせていたのだが、出てきた瞬間見つかったようである。
「もう少し小柄だったら良かったんだけど、さすがに80センチあったら目立つよな。それに俺の肩に乗ると、ジェフの頭部が入口にぶつかるかも。」
苦笑してみせるハル。
町中でそんな大きな鳥を肩に乗せているハルは嫌でも目立つのだが、そもそも彼の髪色が黒い事自体が異種なので今更だと諦めていた。




