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一通り食事が終わり、片付けも済んだ頃。
「…あ、鳥。」
思いだしたようにハルが呟く。
他の3人は気付いていたが口には出せなかったようで、ハルが思い出した様子にホッと胸を撫で下ろしていた。
「…大丈夫かしら?」
「生きてると良いね。」
クラウディアとジミーの心配をよそに、ハルは自分のアイテムボックスに手を入れている。
そして徐に中から先程の鷲を取り出した。
何故だか首根っこを掴まれ、驚愕したような表情の鷲。それでも外に出られた事で我を取り戻したのか、突然暴れだす。
「煩い。」
そしてその一言で、再びハルによってアイテムボックスに格納されてしまう。
「えっ?!し、しまっちゃうの?」
驚くクラウディア。
辺りにはもの悲しく、一頻り暴れた先程の鷲の羽根だけが舞っていた。
「なかなか、非人道的だよね。」
「鬼畜だ。」
ジミーの深い溜め息と、ジャスティンの言い捨てるような言葉が聞こえる。
「ん?何で?…食材と思えば良いんじゃないですか?」
全く悪気のないハル。
パーティーメンバーの反応の理由が分からず、逆に首を傾げていた。
「だ、出してあげて?可哀想じゃない…。」
「クラウディア、人は食べなきゃ生きていけないんだよ?人だけじゃないけど、可哀想って思うだけじゃダメなんだよね。」
金色の瞳にうっすら涙を浮かべるクラウディアに、ハルは子供を諭すように言葉を紡ぐ。
だが彼女を庇うように、離れた場所から援護が飛ぶ。
「う~ん、分からなくはないんだけどね。ハル、女の子にそれはねぇ。」
「ディアを泣かすな。」
ジミーは頷きながらだったが、ジャスティンは完全に敵意に満ちた声だ。
「はいはい。」
呆れたように溜め息をつき、仕方なしにハルがアイテムボックスから鷲を取り出す。
そして外に出られた事を悟った筈の鷲は、先程とは違って酷く従順な態度だった。
自分よりハルが強いと認め、従う事に決めたかのようである。
「何。お前、行かないの?…そう。んじゃ、俺と一緒に来なよ。」
何故だか鷲と話をしているようなハルに、3人は複雑な表情を浮かべていた。
「何よ、あれ。鳥と話をしているの?」
「まさかぁ?いくらハルが変わってるっていっても…。」
「いや。魔術師ならば、あるやもしれません。」
ジミーとクラウディア、ジャスティンのそれぞれの思い。
疑問を浮かべながらも、もしかたらと完全に否定出来ないでいた。
「ん?何…。」
「ハル…、あのね?」
「何さ、クラウディア。そんなかしこまっちゃって。」
そんな3人に漸く気付き、ハルが問い掛けるように首を傾げる。
そのタイミングで、やっとクラウディアは質問が出来るのだった。




