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ハル・クロフォードの場合  作者: まひる
昆虫人
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■□■


「本当にアンタ、魔物討伐が好きだねぇ。」


「…照明(ライト)。」


 巣穴に入りつつ、ジミーが半ば(あき)れたようにハルに告げる。


 ハルは(レイ)魔法をかけながらも、通路の奥に意識を向けた。


「当たり前じゃないですか。だからハンターをしてるんです。ヘイリー姉さんは違うんですか?」


「私は良いの。でも、普通は金品や名誉の為だったりするんだけど?」


 ハルの問いに気なしに答えつつも、クロスボウを武器とするジミーは、既に(クォーラル)のセットを済ませて戦闘準備を整えていたのである。


「金は…食っていくのに困らない分は欲しいですけど、名誉なんて俺はいらないですよ。」


 (レイ)魔法使用中に捜索魔法を使うのを避けたいハルは、ジミーの前を歩きながらも警戒を解けない。


 それでもジミーは何やらハルのハンター志望動機を聞かずにいられないようで、何かと話し掛けてくるのだ。


「何、あの噂は本当なの?父親の(かたき)の魔物を討ち取る為にハンターしてるって。」


「…さぁ?」


 振り向きもせず、ハルは肩を(すく)めて見せる。


 だがその対応が気に入らなかったのか、ジミーが食って掛かってきた。


「何さ、答える気がないっての?」


「あのですね、ヘイリー姉さん。煩いですよ、さっきから。ここはもう戦闘区域なんですけど。」


 振り向き(ざま)に冷ややかな視線を返すハル。


「そ…、そんな事分かってるし。」


 プイッと顔を背けるジミーの横顔は、照れているのか(わず)かに赤みがさしている。


 嫌いな筈のハルの事を、何故そうも知りたがったのか、自分でも分からないといった混乱もみえた。


「…明かりを消します。」


 何かに気付いたのか、突然ハルは(レイ)魔法を解除する。


「っ?!」


 視界を急に奪われたジミーが息を呑んだ。


「すみません。魔物の気配がしたので。」


 暗闇の中、ハルはジミーの耳元で小さく(ささや)く。


「っ?!何するのっ!」


 思い切り耳を片手で塞ぎ、もう一方の手でハルを押し返した。


「どうしたんです?…あ、耳が弱い…とか?」


 軽く首を傾げながらも、ハルは一つの仮定に辿り着く。


 この暗闇では普通は表情まで分からないのだが、ジミーが耳を押さえているのがハルには見えていた。


「う、煩いよっ。だいたい、何で私が見えるのさ。」


「…見えませんか?この苔とかは光苔の一種ですよ。」


 ハルにとっては普通の事であった為、驚くジミーが分からない。


 (レイ)魔法を使っていたのは、細部に渡って確認するだけの為なのだ。


「そんなの分からないっ。そもそも、アンタも見えないんだから!」


 小声ではあるが、必死に叫ぶジミーである。


 彼にとっての視界は全くの暗闇で、自身の手すら見えない状態。不安が一気に押し寄せて来ているのだった。


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