67
■□■
「本当にアンタ、魔物討伐が好きだねぇ。」
「…照明。」
巣穴に入りつつ、ジミーが半ば呆れたようにハルに告げる。
ハルは光魔法をかけながらも、通路の奥に意識を向けた。
「当たり前じゃないですか。だからハンターをしてるんです。ヘイリー姉さんは違うんですか?」
「私は良いの。でも、普通は金品や名誉の為だったりするんだけど?」
ハルの問いに気なしに答えつつも、クロスボウを武器とするジミーは、既に矢のセットを済ませて戦闘準備を整えていたのである。
「金は…食っていくのに困らない分は欲しいですけど、名誉なんて俺はいらないですよ。」
光魔法使用中に捜索魔法を使うのを避けたいハルは、ジミーの前を歩きながらも警戒を解けない。
それでもジミーは何やらハルのハンター志望動機を聞かずにいられないようで、何かと話し掛けてくるのだ。
「何、あの噂は本当なの?父親の仇の魔物を討ち取る為にハンターしてるって。」
「…さぁ?」
振り向きもせず、ハルは肩を竦めて見せる。
だがその対応が気に入らなかったのか、ジミーが食って掛かってきた。
「何さ、答える気がないっての?」
「あのですね、ヘイリー姉さん。煩いですよ、さっきから。ここはもう戦闘区域なんですけど。」
振り向き様に冷ややかな視線を返すハル。
「そ…、そんな事分かってるし。」
プイッと顔を背けるジミーの横顔は、照れているのか僅かに赤みがさしている。
嫌いな筈のハルの事を、何故そうも知りたがったのか、自分でも分からないといった混乱もみえた。
「…明かりを消します。」
何かに気付いたのか、突然ハルは光魔法を解除する。
「っ?!」
視界を急に奪われたジミーが息を呑んだ。
「すみません。魔物の気配がしたので。」
暗闇の中、ハルはジミーの耳元で小さく囁く。
「っ?!何するのっ!」
思い切り耳を片手で塞ぎ、もう一方の手でハルを押し返した。
「どうしたんです?…あ、耳が弱い…とか?」
軽く首を傾げながらも、ハルは一つの仮定に辿り着く。
この暗闇では普通は表情まで分からないのだが、ジミーが耳を押さえているのがハルには見えていた。
「う、煩いよっ。だいたい、何で私が見えるのさ。」
「…見えませんか?この苔とかは光苔の一種ですよ。」
ハルにとっては普通の事であった為、驚くジミーが分からない。
光魔法を使っていたのは、細部に渡って確認するだけの為なのだ。
「そんなの分からないっ。そもそも、アンタも見えないんだから!」
小声ではあるが、必死に叫ぶジミーである。
彼にとっての視界は全くの暗闇で、自身の手すら見えない状態。不安が一気に押し寄せて来ているのだった。




