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ハル・クロフォードの場合  作者: まひる
昆虫人
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「っと…、何でハダ…?!」


 一瞬にして拘束を解かれた二人を抱き止めるものの、二人はその身に(まと)う物を所持していない。


 ハルは抱き止めた二つの柔肌(やわはだ)に慌てつつ、ジャスティンに助けを求める視線を向けた。


「無理だ。俺はこれ以上淑女(しゅくじょ)を目にする事が出来ない。」


 そう言いながらも、ジャスティンは先程からあらぬ方向を見たまま止まっている。


 しかも、その(わず)かに見える耳が赤いのは気のせいではないようだ。


「もしかして、フラトンさんは女性に免疫がない?貴族なのに?」


「う、煩いぞ、魔術師。」


「…掘り出したら服を着ていなくて、どうしたら良いか分からないとか?」


「だ、黙れっ。」


 次から次へとハルに言葉を投げ付けられ、ジャスティンは顔を赤らめたまま視線を向ける。


 が、視界に入った女性達に一層赤面し、終いには鼻を押さえて(うずくま)ってしまった。


「ぅわ…助平(すけべえ)なのか、ただの純真か。でもまぁ、何だか可愛いですね。なるほど、フラトンさんを王女様につけた国王様の狙いが分かります。見目の良さで周囲を牽制しつつ、絶対に手を出さない最強の護衛ですよね。」


 ハルは女性二人を抱き締めたまま、うんうんと一人で納得して頷いた。


「た…、頼むから…それらをどうにかしてくれ…。」


 ポタポタと赤い滴を溢しながら、弱々しく訴えて来るジャスティン。


 それという表現はどうかと思われるが、口にも出せない程に刺激が強いものなのか。ともかくも、このままジャスティンが使い物にならなくなってはハルも困る訳だ。


「仕方ないですね。…風翼(フライ)。」


 彼を見ているのは楽しいのになどと思いながらも、ハルは二人の女性を一度魔法で宙に(とど)める。


 そして自身のアイテムボックスから大きめの布を二枚取り出し、手早く二人に巻き付けた。


「これで大丈夫ですかね、フラトンさん?何なら、そちらの女性にも布を提供しましょうか。」


 にっこりと笑みを浮かべながら告げるハルに、ジャスティンは顔を上げる気力もなく頷いている。


「はいはい。ってか、まさかの弱点。…風翼(フライ)。」


 呟きながらも楽しそうに三人目を宙に浮かせ、手際よくその身体を布でくるんでやった。


「今、彼女達を起こすのは得策じゃないですよね。帰ってからにしましょうか。ってか…フラトンさん、動けます?」


「だ…、大丈夫だ。」


 半ば(あき)れながら上着を返すハルの言葉に、ジャスティンは自身のアイテムボックスから取り出したハンカチを鼻に当てている。


「まだ奥に女王が残っている筈ですが、一旦引きましょう。」


「わ、分かった。」


 ハルの言葉に、素直に頷くジャスティン。


 自身が本調子でない事くらい判断がつかないようであれば、ハンター失格とも言えるのだ。


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