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その後のクラウディアの討伐は凄まじかった。
連続攻撃で10発の筈なのに、途切れる事なくインセクトレイドを打ち倒していく。
「ヒュー…、負けてられないよね。私もっ。」
「ディア一人に討伐させる訳にはいきませんね。」
ジミーとジャスティンも、そのクラウディアの姿にハンター心を刺激されたようだ。
互いに武器を構え、先程までとは打って変わって勢いのある討伐を始める。
「…ったく、初めからそうやってくれればな。…風爆。もう少し早く片付くのにねぇ。」
ハルは溜め息をつきながらも、他の三人の位置を確認した上、魔力で圧力を高めた爆風を起こした。
普段は単独で依頼をこなすハル。
パーティーでの攻撃の場合、魔法を主流とするハルは戦闘に多少気を使う。
「ちょっと、バカハルっ!砂が飛んで来るじゃないのっ。もう少し考えてやりなさいよっ!」
それでもジミーから苦情が来るのだ。
「はいはい、すみませんね。」
心の中で舌を出しながらも、ハルは顔では笑って返す。
元よりジミーとは犬猿の仲。ジャスティンの態度を少し軟化させてくれただけでもありがたいと思わなくてはならないくらいだった。
「はい、外のターゲットは終わったわよ?」
最後の一体を撃ち倒したクラウディアが振り向く。
さすがにCランクハンターが四人も本気を出せば、インセクトレイド程度の魔物等は一溜まりもなかった。
「ご苦労様。んじゃ、中を見に行くとしようかな。あ…、クラウディアはヘイリー姉さんとここに残って見張りをしてくれる?」
インセクトレイドの巣穴前で、ハルは他のメンバーを振り返る。
「何でよ、ハル。何で私が見張りなのよ。」
その言葉を受け、明らかに不機嫌そうなクラウディアだ。
「ん?ヘイリー姉さんと、って言ったけど。それに遠距離攻撃タイプが見張りをしてくれると、もし外に出ていたインセクトレイドが戻って来ても迎え撃てるでしょ?」
ニッコリと笑みを見せるハル。
「そうね。仕方ないから、お嬢ちゃんと待っててあげる。虫の巣の中なんて入りたくないし、私のクロスボウじゃ、複雑に張り巡らされた巣穴の中で役にたたないもんね。私は体術派じゃないし。」
ジミーは不満を見せながらも、肩を竦めるように了承する。
「…ディア。ここは私…と、この魔術師にお任せください。」
ジャスティンは思い切り不愉快そうに、それでもクラウディアをこの場に残そうとする言葉を続けた。
「ゴメン、クラウディア。」
「う~…、良いわよっ。ここで私だけが意地を張ったって仕方無いもの。今回は我慢してあげるわ。」
フンと顎を上げながら、クラウディアはとりあえずのところ納得してくれたようである。
ハルは内心、ホッと一息つくのだった。




