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「フラトンさん。そのクレイモア、良く手入れが行き届いているね。」
ジャスティンの大剣を指して告げたのはジミーだ。
それは1メートルほどの刀身を持ち、鍔は刃に向かって傾斜した形で左右に大きく張り出している。先端の飾輪は四葉の形をしているのが特徴だ。
「武器はハンターの手足も同然だからな。ヘイリー殿のクロスボウも、連続射撃が出来るよう改造が施してあるようだ。」
互いの武器を誉めあう二人。
いつの間にこれ程距離が近付いたのか、不思議なくらいである。
「回転式拳銃使いの私を無視した物言いよね、ジャスティン。」
「いえ。22口径10発装填式のディアに、遠距離連続攻撃では敵いませんよ。」
不機嫌そうに唇を尖らせたクラウディアに、ジャスティンはニッコリと微笑んだ。
「そうだね。私のクロスボウじゃ、さすがに三発が連射の限度だからね。」
ジャスティンの話に乗るように、ジミーが笑顔で同意する。
だが、周囲には当たり前ながらインセクトレイドがウヨウヨいるのだ。
「ちょっと…火炎弾。皆、今は戦闘中なんですけど?」
複数の火の玉を飛ばしつつ、ハルが呆れたように割って入る。
確かに各々は武器を振るって戦っているのだが、人数が多いからか今一つ集中力と意気込みが足りないのだ。
「分かってるよ、ハル。けどさ…。」
「そうよ。ここ、Cランクハンターが四人も必要ないじゃないの。」
ジミーの訴えに、すかさずクラウディアが賛同する。
「いやいや、これ…クラウディア達の移籍試験でもあるんだけど?」
何故だか敵対するような立場になってしまい、少々焦るハル。
「何だ、魔術師。ディアと私を不合格とする気か。」
刺し殺しそうな…実際にこの瞬間にインセクトレイドが一体串刺しになったのだが、ジャスティンが鋭い視線をハルに向けた。
「それは俺が決める事じゃないですよ。…風刃。俺の報告を聞いたマスターが決定する事ですから。…風爆。」
言葉の合間に魔法を放ちつつ、ハルは不本意そうな顔をする。
ただでさえ面倒なパーティーリーダーを任されたのだ。これ以上ジャスティンから、身に覚えのない不興を買いたくはない。
「分かったわよ、ハル。私、またハンターギルド・ノーブルに戻されたくはないもの。少し真面目に討伐してあげる。」
何故か上から目線の言葉だったが、クラウディアはフフンと胸を張った。
そして一度回転弾倉の薬莢を撃ち尽くして空にすると、スピードローダーで素早く再度装填した。
その手際は大したもので、これが彼女のハンターとしての相棒なのだと十分に分かるものだったのである。




