表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハル・クロフォードの場合  作者: まひる
昆虫人
54/322

54

■□■


「ちょっと…、顔色が悪くない?」


 怖々(こわごわ)問い掛けてくるクラウディア。


 そして隣に並ぶハルの額には、何故だか玉のような汗が浮いている。


「…大丈夫だよ。まだ落ちないし。」


「っ?!」


「冗談だって。もうすぐだから、とにかく静かにしておいてくれるかな。」


 ハルの答えに息を呑んだクラウディアに、フッと笑ってから小さく溜め息をついた。


 捜索魔法の負担が、ハルの予想よりも大きかったのである。


 洪水のように押し寄せる音の波の中、眼下に見える森を(にら)んだ。


「森って…、存外(ぞんがい)生き物がいるんだねぇ。」


 辛そうに細く息を吐き、ターゲットが停止するのを感じとるハル。


 生物が多ければ多い程に障害となる雑音が増えるので、術者への負担が比例するように増す。


「やっと止まったよ。…でもまさか真ん前に降りる訳にもいかないだろうし、少し距離を離すよ。…ん?どうしたの、クラウディア。」


 目的地がハッキリとした為、ハルは捜索魔法を解除した。


 少しだけ頭痛が収まり、隣のクラウディアの様子がおかしい事に気付く。


「…静かにしておいてって、ハルが言ったんじゃない。」


 ムスッとしたままのクラウディア。


 だが、心なしか瞳が不安に揺れていた。


「あ…、ゴメン。不安にさせたね、俺。もう大丈夫だから…って、ダメ?」


 ニッコリと微笑んで見せるが、クラウディアの表情は硬いまま。


「ん~…。あまりここにいると、色々と面倒だよ?」


 不意に視線を逸らしたハル。


 その先を追うようにクラウディアが同じく視線を動かす。


「っ?!」


 予想もしていない自体に息を呑むクラウディア。そしてすぐ真横を、一本の矢が通り過ぎていった。


 眼下では既にインセクトレイドとジミー、ジャスティン組の戦闘が行われている。


「ほら、こっちも狙われてる。どうする?」


 他人事のように小首を傾げるハルだったが、勿論彼にも攻撃の矢尻は届いている。


 ただ何かに弾かれるように甲高い音を発し、それらは(むな)しく落ちていくだけだった。


 ちなみにハルは敵発見時、即座に強化魔法を発動している。


「あ、あなた一体…って、それどころじゃないわ!危険ならどうにかしなさいよっ。リーダーでしょ?!」


 思い切りハルの背に隠れ、クラウディアは叫んだ。


 その間、確実に攻撃の手は上空にいるハルとクラウディアにも向けられ、インセクトレイドの弓取りから(まと)にされている。


「都合の良いリーダー呼称だなぁ。」


「う、煩いわよっ。大体、私はハルがリーダーなのに反対してないんだからね?」


「あ…、そう言えばそうだったね。んじゃ、とりあえず降りようか。」


 クラウディアの言葉に頷きながら、ハルはジミー達の(そば)に急降下して降り立つ。


 勿論、クラウディアも強制的に引き連れていかれたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ