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ハル・クロフォードの場合  作者: まひる
クラウディア
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■□■


 翌朝のハンターギルド。


「こら~っ!逃げるな、卑怯者っ!待て~、ハルっ!」


「いやいや、誰だって逃げたくなるって!ヘイリー姉さんってば、鬼の形相~っ!」


 いつにも増して激しい、追い駆けっこ付きのハルとジミーである。


 周囲のギルド員達は、皆が笑いながらその様子を見ているだけだった。


「やめないか、ジミー、ハル。」


 ギルドマスターのアンディが出てきて、二人の首根っこを掴んだ事により(ようや)く静かになる。


「ブラックバーンさん、ハルの奴がですねっ。」


「だって俺、承諾してないですよ。」


 互いに動きを封じられているものの、口はしっかりと続きをしていた。


「煩い。」


 二人に有無を言わさず、アンディはその口論も止める。


「お前達もさっさと仕事へ向かえ。依頼(クエスト)を受けていないなら、俺が一番楽しいのを受けさせるぞ。」


 そしてアンディは見物人達にも同じ様に一言。


 それだけでギルド内に無駄な騒音は一切なくなり、ギャラリー達はそそくさと出ていった。


「で、今日は何だ。」


 アンディは二人を放すと、交互に視線を送って会話を促す。


「…何でもないです。」


 だが、そこでジミーは口をつぐんだ。


 どうであっても、喧嘩両成敗となるのは目に見えている。


「何でもないなら、朝から走り回るな。それから、お前達に紹介したい奴等がいる。入れ。」


 アンディは、ジミーが口をつぐみハルが首を横に振った事で、この件は終わりとばかりに話を変えた。


 そして彼の声で(うなが)されて奥から現れた人物。


「おはようございます。」


 軽く下げた頭から、サラリと銀色の髪が(こぼ)れ落ちる。


「おはよう。また会ったわね、ハル。」


 にっこりと笑みを浮かべる赤茶色の髪の少女。


「な…。」


 さすがのハルも、まさかここまで追いかけてくるとは思っていなかった。


 ジミーも内心はハルと同じらしく、名も知らぬ二人に警戒を(あらわ)にしている。


「本日付で二人はギルドを移籍して、このハンターギルドBBのメンバーとなった。前ギルドではCランクハンターだ。ジミーとハルは顔見知りらしいから、お前達に今日一日同行してもらい、その腕を確かめる為に先に紹介した。」


 淡々と告げるアンディだが、ジミーとハルの表情は固かった。


「どうした。ほら、自己紹介。」


「ジミー・ヘイリーです。」


 アンディに(うなが)されるまま、条件反射のように自らの名を明かすジミー。


 回避策を見出だせないまま、ハルは軽く溜め息をつきなから告げる。


「ハル・クロフォード。」


 ハルは既に二人の名前を知っているのだ。


 そして恐らく、この二人もハルの事を調べた上でここに来ている。


 明らかな策略だった。


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