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ハル・クロフォードの場合  作者: まひる
小鬼
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「よし、行けっ。」


「…解体(ブレイク)も掛けさせては貰えないの?相変わらず横暴だね、騎士団は。私は依頼を受けてここに来ているのに。」


 分団長とやらにここから立ち去るように告げられ、それ以上黙っていられなくなったジミーである。


「何をっ!」


 別の騎士が、ジミーに対して武器を振りかざしてきた。


 いつだって権力者は横暴なのである。自分達が正義だと盲信しているのか、全くこちら側の意見は聞き入れないのだ。


「待ちなさいよ。」


 そこへ場違いな少女の声が通る。


 その次の瞬間、ザザッと人垣が割れた。


「ハンターの仕事は知ってるでしょ?説明もなしに解体もさせてあげないなんて、それはないんじゃない?」


 疑問符がついているのにも関わらず、これは断言である、とジミーは感じた。


 それ程に少女の声は、ハッキリとしていたのである。


「…分かった。おい、お前。さっさと片付けて立ち去れ。我々はハンター依頼をしたお方からの最終確認を任されている。それと、魔物以外の物には()れるなよっ。」


 少女に告げられ、分団長と呼ばれた男が決断した。


 他の騎士達には不満も見え隠れしているが、分団長の決定には逆らえないようである。


「はい、はい。解体出来さえすれば、私もこんなところに用はないからね。」


 ジミーは少女に意味あり気な視線を送ったものの、すぐに外してゴブリンの解体に気持ちを切り替えた。


 だが視界に入ってしまう少女。そしてその少女に近付く銀髪銀眼の男がいる。


 身長は190センチくらいか。細身の割りに、しっかりと筋肉がついているようだ。


 長い銀髪を首の後ろで一纏(ひとまと)めにしている。


「ディア、行きましょう。」


 低い声で少女に声を掛けた男は一見(いっけん)してハンターだが、彼の柔らかい所作(しょさ)から育ちの良さを感じ取るジミーだった。


「…ねぇ、あなた。」


 不意に少女から声を掛けられる。


 ジミーは警戒を含めた視線を返した。


 まだ解体が終わっていないため、あちらこちらでゴブリンが転がっている。


「あなたもハンターギルドBBなの?」


 少女の問い掛けは、聞く側にとってまたもや断言に聞こえた。


「分かってて聞いてるでしょ。見て分からない?私は今、忙しいの。」


 それだけ答えると、ジミーは少女から視線を外す。


 早く解体し終わらないとロストしてしまうからだが、あまりこの少女と関わり合いたくないというのが本音だった。


「…そう。分かったわ。行きましょう?」


 ジミーの対応に何を感じたのか、少女は銀髪の男を促して立ち去っていく。


 そして建物の中では、ジミーが床を()(まわ)って魔物のアイテムを集め、騎士達がそこいら中を調べているというシュールな構図だけが残された。


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