↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハル・クロフォードの場合  作者: まひる
小鬼
PR
37/322

37

「ちょっと、アンタ達。」


 そんな二人の中を裂(さ)いたのは、苛立ちをのせたジミーの声である。


 そう言えば…と思い出される現状に、ハルは苦笑いを浮かべた。


 この時既に、ゴブリンの討伐はジミーの活躍によって完了していたが。


「いつまでイチャついているつもりなんだか、バカハル。」


「いえ…すみませんでした、ヘイリー姉さん。予想外の出来事に、俺も現状を忘れていました。」


 ブツブツ文句を言うジミーに瞬(まばた)きを一度した後、ハルはにっこりと笑って謝罪する。


「あら。私が見たところ男性に見えるけど、オカマなのかしら?それにハル。あなたはその人を信頼してはいないのね。嘘臭い笑顔だこと。」


 ジミーとハルの応対を見ていたクラウディアは、サラリと思った事を口にした。


 勿論、ジミーもハルも固まる。


 今まで幾らでも口だけの応酬をしているが、そこまでハッキリと口にする者はいなかったのだ。


「…クラウディア?そういうのは、思っても言わない方が良いんだよ?」


 遠退(とおの)いていた意識を何とか戻したハル。


 多少引き攣(つ)った笑みを浮かべながらも、自体の終息をどうしようかと思考を巡らす。


 ジミーはまだ戻ってきていない。見ず知らずの少女からオカマ呼ばわりされた事による、精神的ショックから抜け出ていないのだ。


「そうかしら。でも、嘘をつくのは嫌なの。」


 キッパリと告げるクラウディア。


 真っ直ぐすぎると言うのも困り者である。


「…ダン、何?」


 不意に足元に擦り寄ってきた黒豹へ意識を向けたハル。


 それは甘える仕草ではなく、何かを促すようなものだったからだ。


「…風音(サウンド)。」


 ハルはダンの行動から察し、捜索魔法を発動する。


「あら、大きい猫。」


 そんな中、クラウディアは何の警戒もなくしゃがみ込み、ダンの頭を撫でようとした。


 グルルルル…。


 当たり前だが、ダンは牙を剥き出しにして唸る。それでも躊躇(ちゅうちょ)なくその頭に手をのせていた。


 豪胆(ごうたん)である。


「うふふ、とっても気持ちいい肌触りねぇ。」


 唸り続けるダンをよそに、クラウディアは撫で続けた。


(うぅ…、ハル~…。)


 どうしたら良いのか分からなくなり、ダンは情けない声をハルに投げ掛ける。


「…クラウディア、君の仲間が来たようだよ。」


 ハルが急に意識をこちら側に戻した。


「あら、仲間ですって?何故分かるのよ、そんな事。」


 クラウディアは軽く首を傾けてハルに問い掛けるが、それでもダンを撫でるのはやめない。


「話しているからだよ、勿論敬称つきでね。それと、ジャスティン・フラトンって男もいるよ?」


 ハルは先程聞いた名前に自分の心が何故か軋(きし)むのを感じつつも、内心を曝(さら)け出す事なく淡々と告げた。


 その言葉を聞き、クラウディアの表情に僅(わず)かながら警戒が浮かぶ。


「何故…、ジャスティンの名前を知ってるのよ。」


 ダンの頭から手を退(の)け、クラウディアの金色の瞳が真っ直ぐハルを射抜いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。