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「ちょっと、アンタ達。」
そんな二人の中を裂いたのは、苛立ちをのせたジミーの声である。
そう言えば…と思い出される現状に、ハルは苦笑いを浮かべた。
この時既に、ゴブリンの討伐はジミーの活躍によって完了していたが。
「いつまでイチャついているつもりなんだか、バカハル。」
「いえ…すみませんでした、ヘイリー姉さん。予想外の出来事に、俺も現状を忘れていました。」
ブツブツ文句を言うジミーに瞬きを一度した後、ハルはにっこりと笑って謝罪する。
「あら。私が見たところ男性に見えるけど、オカマなのかしら?それにハル。あなたはその人を信頼してはいないのね。嘘臭い笑顔だこと。」
ジミーとハルの応対を見ていたクラウディアは、サラリと思った事を口にした。
勿論、ジミーもハルも固まる。
今まで幾らでも口だけの応酬をしているが、そこまでハッキリと口にする者はいなかったのだ。
「…クラウディア?そういうのは、思っても言わない方が良いんだよ?」
遠退いていた意識を何とか戻したハル。
多少引き攣った笑みを浮かべながらも、自体の終息をどうしようかと思考を巡らす。
ジミーはまだ戻ってきていない。見ず知らずの少女からオカマ呼ばわりされた事による、精神的ショックから抜け出ていないのだ。
「そうかしら。でも、嘘をつくのは嫌なの。」
キッパリと告げるクラウディア。
真っ直ぐすぎると言うのも困り者である。
「…ダン、何?」
不意に足元に擦り寄ってきた黒豹へ意識を向けたハル。
それは甘える仕草ではなく、何かを促すようなものだったからだ。
「…風音。」
ハルはダンの行動から察し、捜索魔法を発動する。
「あら、大きい猫。」
そんな中、クラウディアは何の警戒もなくしゃがみ込み、ダンの頭を撫でようとした。
グルルルル…。
当たり前だが、ダンは牙を剥き出しにして唸る。それでも躊躇なくその頭に手をのせていた。
豪胆である。
「うふふ、とっても気持ちいい肌触りねぇ。」
唸り続けるダンをよそに、クラウディアは撫で続けた。
(うぅ…、ハル~…。)
どうしたら良いのか分からなくなり、ダンは情けない声をハルに投げ掛ける。
「…クラウディア、君の仲間が来たようだよ。」
ハルが急に意識をこちら側に戻した。
「あら、仲間ですって?何故分かるのよ、そんな事。」
クラウディアは軽く首を傾けてハルに問い掛けるが、それでもダンを撫でるのはやめない。
「話しているからだよ、勿論敬称つきでね。それと、ジャスティン・フラトンって男もいるよ?」
ハルは先程聞いた名前に自分の心が何故か軋むのを感じつつも、内心を曝け出す事なく淡々と告げた。
その言葉を聞き、クラウディアの表情に僅かながら警戒が浮かぶ。
「何故…、ジャスティンの名前を知ってるのよ。」
ダンの頭から手を退け、クラウディアの金色の瞳が真っ直ぐハルを射抜いた。




