表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハル・クロフォードの場合  作者: まひる
小鬼
33/322

33

 ハルの放った風の刃で、見事に一刀両断されるオーク。


 本来ならばその発達した筋肉と、簡素だが身に付けている鎧によって、多少の攻撃ならば耐えられるだけの防御力を持っている。


 だが、ハルの攻撃はそれを確実に上回っていた。勢い余ってその背後の壁まで切り裂いたのだから。


「…何、人の獲物を勝手に狩ってるのさ。」


 それを冷たく見据え、ジミーはハルに問う。


 オークは限界以上のダメージを受け、即時消滅(オーバーキル)となって消え去ってしまったのだ。


 戦闘に()ける経験値の獲得はダメージを与えていた両名にその効果の割合で分配されるが、こうなってはアイテム獲得どころではない。


「あ~…、つい?」


 ハルはそれに対し、言い訳すら思い付かない。


 ジミーが先にダメージを与えていたのは事実で、依頼(クエスト)を請け負ったのも彼だ。脇から出てきて横取りした形になっているハルの現状、何も発言権はない。


「………後でその頬、張らせてもらうから。覚えておいて。」


 (しばら)くの沈黙の後に告げられた言葉に、ハルの頬が引きつった。


「…あちゃ~…。」


 片手で顔を覆うハルだったが、ジミーは怒濤(どとう)(ごと)く残りのゴブリンを討伐していく。


 司令塔がなくなった後のゴブリンは右往左往するばかりで、ジミーからの攻撃を()ける事すら出来ていなかった。


(ハル?)


 そんなハルの様子が心配になったのか、ダンが足元に擦り寄ってくる。


 普段ならば、他者がいるところで声を掛けてきたりしないのだ。それが分かっているハルはダンの頭を撫で、その手触りの良さに心癒される。


「大丈夫、サンキュ…。さてと、これを入れる物を探さないとな。」


 気持ちを改め、空中に留めままにしてあったセンシュアルの塊を見た。


 先程の袋は完全に破れてしまっていて、とても使えそうにない。他に入れ物はないかと見て回し、一つの樽を見付けた。


「あ、これが良いかも…っ?!」


 歩み寄って樽を覗き込んだハルは、その途端息を呑む。


 何故だか、その樽の中には女の子が入っていたのだ。


 赤茶色の長い髪を頭頂部で一纏(ひとまと)めにした髪型で、肌の色は白い。意識を失っているようでその瞳は固く閉ざされていたが、意思の強そうな顔立ちだ。


「…とりあえず、この子を移動させてっと。…風翼(フライ)。」


 ハルは飛行魔法を使い、樽の中で意識を失っている少女を静かに出す。


 そして(まと)めておいたセンシュアルを、飛び散らないように樽の中へ収納した。


「…ふぅ。」


 ハルは、知らずに詰めていた息をつく。


 幾重にも魔法を多用する事により、術者は多大な精神的負担を与えられるのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ