24
「で、マスターはヘイリー姉さんだけで大丈夫だと判断したんですよね?」
「…と言うより、依頼人の指定だ。」
「あ~…。」
ハルとアンディの呆れたような言葉に、ダンだけが首を傾げる。
「それなら尚更、俺に話を振っちゃマズいっしょ。」
「うむ。だがハルからもたらされた今の情報によると、ジミー単独では少しばかり荷が重いかもしれない。」
苦い顔をするアンディ。
依頼人からの指定でジミーを向かわせたが、ハル情報で依頼人から明かされていない複数の魔物の存在が分かったのだ。
「ハル。ジミーを陰ながらフォローしてやってはくれないか。」
「え~…。確かにヘイリー姉さんはクロスボウだから、近距離戦は厳しいかもしれないですけど…。絶対に文句を言うと思うんですが?」
嫌そうな顔を隠さないハル。
ハルとジミーが犬猿の仲である事は、アンディは元よりギルド周知の事実である。
「俺が命じたと言えば良い。」
「それ、逆にヘイリー姉さんに泣かれそうです。マスター命の人ですよ?信頼されていなかったって思われるか、俺が嵌めたと思われるじゃないですか。」
それを想像して、うんざりとした顔をするハル。
「そうか…。」
残念そうなアンディだ。
それを見てそのままには出来ず、ハルは溜め息をつきながらも両手を広げつつ首を縦に振る。
「はいはい、分かりましたよ。ここは俺が悪者になりますって。勝手にやった事にすれば、不興を買うのは俺だけですからね。良いですよ、どうせ嫌われていますから。」
「…すまない。見あった報酬は出す。」
申し訳なさそうなアンディに、ハルはこれ以上何も言えなかった。
「了解っす。で、期限はいつまでですか?」
「明後日迄だ。ジミーにも伝えてある。」
「分かりました、行ってきます!」
ハルは、これ以上何も言われないように立ち上がる。
陰ながらフォローすると言うのは、口で言うほど簡単ではないのだ。尚更、ハンターランクが同等のジミーには見つかる可能性が高い。
「頼んだ、ハル。」
「へ~い。」
半ば嫌々の返答だが、受けた依頼はこなすのが流儀だ。
初めからダメだ、無理だと思うものなら受けない方が良い。
(ハル?)
ギルドを出たところで、ダンから話し掛けられた。
他者がいる場所では、なるべく普通の動物として装う事にしているのである。
「ん?」
(大丈夫、なのか?)
「あ~…まぁ、何とかなるっしょ。」
ダンに不安が伝わらないように、ハルはなるべく明るく答えた。
実際は分からないが、今以上にジミーから敵対視されたとしてもアンディへ責任を負わすつもりは全くないのだから。




