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ハル・クロフォードの場合  作者: まひる
夢魔
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12

■□■


「…なんて言ったけど、俺に大概の攻撃は効果がないんだよね。」


 ハンターギルドを出たハルは、鍛冶屋に向かいつつ独り言を呟く。


 常に危険の中に身をおいていたハルは、寝ている時でさえも防御魔法を使用していた。


 それは父であるジェイラスと共にハンター業をして自然と身に付いた生き方で、今では無意識のうちに防御魔法を発動させている。


「でもこのままじゃ使いにくいな~。何かに加工しないと…。」


 そうこうする間に、ハルの目の前に鍛冶屋の看板が見えた。


 鍛冶屋の記録媒体(カラー)色と同じグリーンの看板が連なって見えるのは、この通りが鍛冶屋通りだからである。


「ロブさん、います?」


 その内の一軒の鍛冶屋に入り、ハルは店の奥に声をかけた。


「おぅ、ハルか。今日はどうした。」


 店の奥から顔を出したのはこの鍛冶屋の(あるじ)、ロブ・コンラッド。


 茶髪茶眼のロブは身長195センチと大きく、その肌は日に焼けずとも焦げ茶色である。35歳と若いながらも一軒の店を構える彼は、ハルが一番贔屓(ひいき)にしている鍛冶屋だった。


「実は新しいレイピアが欲しいんですよ。この鋭い鉤爪と青銅の塊で作って欲しいんですど…、この夢魔(むま)灰刺(かいし)を練り込んだり出来ます?」


 ハルは店のカウンターに素材を出しながら、笑顔でロブを見上げる。


「ほぅ、エンプーサか…。」


 一つ一つを手に持って吟味するロブは、素材で大概の魔物が分かるのだ。


「やった事はないが、試してみよう。三日くれ。」


「お願いします、ロブさん。俺の面倒な依頼に応えてくれるのって、ロブさんくらいなんですから。」


 引き受けてくれたロブに対し、ハルは一段とにっこり笑う。


 事実どの店も、年若いハルの依頼には良い顔をしてくれなかった。それは今まで(おこな)った事のない、無謀な…とも思える提案をしてきたりするからなのだが。


「そうなのか?ハルの意見は冒険が効いていて、逆に興味深いと思うんだがな。しかも、持ってくる素材は状態が良い。これは職人にとって、非常に加工しやすい物なんだ。」


 一纏めに(かご)の中に入れられた素材を見て、ロブは意外そうに応える。


 あくまで客観的に捉える事が出来るのも、ロブが若くて思考が柔軟な為だ。


「魔法主体で討伐を(おこな)うハンターは少ない。その為、どうしても素材が粗悪になりがちだからな。」


「そう言って貰えると嬉しいですよ。かといって、誉めすぎじゃないっすか?俺、調子に乗っちゃいますよ?」


「おぅ。乗っても良いぞ。」


 互いに別ギルドとは言え、その中で若年層に当たるハルとロブである。


 二人はこうしてお互いを高めあっていたのだった。


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