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「おい、ハル。この前の仕事はどうした。」
木質のカウンター奥から太い声が響く。
このハンターギルドのギルドマスターである、アンディ・ブラックバーンだ。彼は190センチある背丈とがっしりとした体格の持ち主で、茶色い髪と陽に焼け過ぎとも思える茶色い肌をしている。
その青い瞳は鋭く、常に怒りを湛えているかのようだ。その為、怒っていなくても怒っている様に見られる。
「あ、それはまだですよ。ってか、マスター。その前にヴォジャノーイ狩って来いって言ってたじゃないですか。」
明るいトーンの声で返答を返したのは、180センチ近い身長で全身黒ずくめの少年、ハル・クロフォード。この世界では珍しい黒髪黒眼の少年は、健康的な小麦色の肌と甘いマスクも相まって、幅広い年齢層の女性達から絶大な人気があった。
僅か16歳ながら、ハンターギルドでの地位は低くない。何故ならば、通常15歳からギルド登録をするところ、彼は13歳からハンターとしてここで従事しているからだ。
ちなみに、ヴォジャノーイは人食い蛙人間である。
「ハル、ブラックバーンさんに失礼な口を利くんじゃないよ!」
突然怒りを顕わにジミー・ヘイリーがハルに食って掛かってきた。
彼は茶金色の髪を掻き上げながら、ズカズカと音が響く程に足音荒くハルの前に立つ。だがその身長は160センチと低く、高い声と白い肌をしているから尚更女性と見紛われた。
「ヘイリー姉さんはマスター・崇拝者だかんね。」
「誰が姉さんだいっ!私は立派に男だよっ。」
ふざけて返すハルに、一段と歯を剥き出しにして怒るジミー。これでも彼は36歳のCランクハンターである。
ハンターのみならず、ギルド登録員は全てランク制だ。それぞれの能力に応じた依頼を受ける為、A~Fまで細かな規律がある。
「大体アンタは同じCハンターだからって、私の事をナメすぎなんだよっ。」
ズイッと近付いたかと思うと、勢い良くハルの胸ぐらを掴みあげた。
それでも20センチの身長差は小さくない。逆にしがみついている様に見えてしまうのは、悲しいかな体格の差だけではないだろう。
「ごめんね、ヘイリー姉さん。俺って女性専門だから、いくらこの状況が美味しく見えても相手にしてあげられないんだよね。」
へらへらと笑みを浮かべたまま、ハルはジミーに襟元を掴まれた状態でも手を出す事はない。
両手を半ば挙げたまま、周囲のざわめきに耳を傾けていた。




