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シュールナンセンス掌編集

冬のかき氷

作者: 藍上央理

「冬のかき氷」



 寒い日だ。

 布団にくるまろう。

 フワフワの羽毛の掛け布団にくるまって、人間オムレットになろう。

 そういや、ハムレットとはなんだ? このあいだ、友人が言っていた。

 ハムをはさんだオムレツの名前だっけ?

 何もしゃれを言うつもりなんかない。

 私はいつだってまじめなのだ。

 うつつに夢とたわごとの積み木を重ねていく。

 かき氷を愛している。

 その横にちんまりと正座するあずきも。

 べつに二股をかけているのではない。

 たまたまいっしょくたに押しかけてきたのだ。

 いやいや、今は真冬で、私は布団の中だ。

 そして、そのうえにかけてある宇治シロップの正直さ。

 私は舌を巻く。いや、なめる? 舌なめずりするだったね。

 羽毛布団の蒸し暑さを跳ね飛ばした。

 暑い!


 いやいや、冬だった。

 私の夢うつつはやけにリアルだ。

 寝てしまえ!

 羽毛布団のページをめくって、童話を読んであげよう。三匹のくまの話はどうだ?

 赤ずきんが出てきたっけか? いや、ずうずうしい小娘が不法侵入する話だったね。

 眠気に正気がKOだ。

 いやいや、1ラウンドのゴングが鳴り、ハイレグの女性がリングを巡る。

 そうだった。かき氷だった。食べる?

 雲をシロップに空に浮かべれば……いや、それではあずきはどこにおくつもりなんだ。

 冗談はもうやめろ!

 寒い。

 思い出した。

 私はもう眠らなくてはならなかったんだ。

 こういうときには宇治金時のことを考えよう。

 布団にくるまって、羽毛布団が柵を飛び越えていく。

 鮮やかな黄緑の牧場。


 一匹、二匹、三匹、四匹……

 そういえば、金時って金太郎のことだったね? 

 あずきではなくて、金太郎が私の愛するかき氷に正座する。

 かき氷のうえに、氷の女王が宇治シロップといつわって眠っているではないか!

 その顔にかき氷をぶちまけろ!

 おや? 我慢しているけれど、まぶたが引くついてるぜ。

 眠れない。

 寒い日だ。

 夜になると手足が冷えて、ドウドウがわたしをついばむ。

 それも集団でやってきて、絶滅の復讐を私にするのだ。

そんなことがないように、2ラウンドKOしろ。

 それともしてくれ、と頼むべきか?


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