表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/121

正面突破

グーラとジャックは悪魔の巣から出ると、ファム達のいるテントを訪れた。彼らの姿を見るなり、ファムは剣を抜いて、それをグーラに向けた。

「お前、何故ここにいる?」

「止めてやってくれファムさん。こいつはオラ達の仲間、正式には人質だど」

 ジャックから経緯を聞いたファムとアリッサ、ソルガは彼の考えをしぶしぶ承諾した。いつ裏切るかも知れない者を頼りにするのは危険に見えるが、彼女の存在が、これからの戦いに役立つのも確かである。

「ふん、良いだろう。しかし信用できないな」

 ファムはグーラの顔をギロッと、囚人でも見るような眼で見つめた。もっとも、囚人という表現はあながち見当外れでもないのだが。


「私が信用できないのね。なら、これはどうかしら?」

 グーラは左腕を前に突き出すと、それを手刀で切断した。彼女の左腕が地面に落ちた。あまりの出血量に、彼女の唇は震え、青紫色になっていた。

「あ、馬鹿・・・・」

 ファムは慌てて、白い布でグーラの傷口を押さえた。止めどなく流れる血液によって、それが真っ赤に染まるまで、そう時間は掛からなかった。

「はあ・・・・はあ・・・・。これが私の覚悟よ。私はね、あんた達、忌まわしい人間どもを巣に入れてしまった。その罪によって、ドラド様に処刑されるわ。でもそんなのは嫌。私はイフリートとは違う。あの方への忠誠は、自分の身の安全のためだけよ」


「左腕に免じて信じるわ」

 アリッサはグーラを見て言った。

「さあ、行きましょう」

 ファム達は悪魔の巣目指して侵攻を開始した。ジャックは自分も行くと駄々をこねたが、全身の傷を重く見たファムによって、テントに残された。


 悪魔の巣を眼前にしたファム達は。まずグーラを前に突き出した。

「ねえ、本当に私から行くの?」

「当たり前だ。お前は人質なんだから。それに案内役が必要だ」

 グーラは嫌がりながらも、しぶしぶ巣の入り口に足を踏み入れた。

「え、何・・・・?」

 巣の中の空気が急激に冷たくなった。その異変に気付いたのはアリッサだけではない。あまりの低温に唇が張り付き、全員、声すら出せなくなっていた。するとグーラの体が何かに引っ張られるように、巣の奥へと吸い込まれて行った。彼女の眼は怯えており、これが彼女によるものではないことが伝わってきた。寧ろ、裏切った彼女に対しての制裁ととることができる。


「がはああああ」

 壁に叩きつけられたグーラは、正面から冷気とともにシヴァが現れたのを見た。

「えへへ、今更のこのことどうしたの?」

「何がよ。私が奴らをここまで引き付けてやったのよ。寧ろ褒めて欲しいぐらいだわ」

「へえ、そういうこと言うんだ」

 シヴァはニッコリと笑うと、グーラの襟に付いている小さなクローバーを手で取った。そしてそれを手の平に乗せて、彼女の前に突き出した。

「これはね。通信草という便利なアイテムだよ。遠くの会話を拾ったり、2枚の通信草を使って、遠くで会話したりできるんだ。私がドラド様に頼んで、グーラちゃんに着けておいたんだけど。大成功だよ。ほら」

 シヴァは通信草に力を込めると、草の葉が赤く発光した。そしてグーラの声と思しき会話が、葉の表面から流れてきた。

「あ・・・・」

 グーラは思わず倒れそうになった。ドラドへの忠誠心が無いことが聞かれてしまったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ