表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/121

集い

 バルド共和国にて、アリッサとソルガの二人が慌ただしく城内を駆けていた。それを後続のファムが、重たい鎧をガチャガチャと揺らしながら追った。

「何を走っている?」

「それはこの子達に聞いてよ」

 実は二人を急がせているのは、ミストとサラマンダーだった。彼らは何かを目指すように、二人の命令も聞かずに、城の外まで走って行ってしまった。

「アリッサ済まねえ。一緒に来てくれ」

 サラマンダーがようやく口を開いた。

「何処に連れて行く気よ・・・・」

「お前には聞こえなかったと思うが、さっき、大権鐘の音が聞こえた。これは神獣王からの集合の命令だ。逆らうことはできないぜ」


 城の外には、緑色の毛並みの狐のような姿をした神獣フェンリルがいた。

「サラマンダーにミストよ。迎えに来た。そして人間達よ。お前達にも同行してもらおうか」

「何よ。あんたは・・・・」

「私はフェンリル。神獣の一匹だ。全員を我が背に乗せるのは無理があるな。サラマンダーとミストをしまってくれ」

 フェンリルの不遜な態度に、アリッサは苛立っていたが、それを押し退けるようにファムが、フェンリルの前に出た。

「私も行くぞ。何か裏がありそうだ」

「裏など何もないが。敢えて言えば。これから古代神獣との決戦に挑むべく仲間を探しているのだ。この戦争に負ければ、恐らく人類が平和を手にする日は、永遠に無いであろうな」


 断る術も理由もない。三人は神獣をいったん消すと、フェンリルの背中に跨った。毛がフワフワと柔らかいので、鞍が無くとも、問題なく乗ることができた。

 フェンリルは高い声で鳴くと、そのまま地面を蹴って、空へと羽ばたいて行った。あれほどまでに大きく荘厳だったバルド共和国が、どんどん小さくなって行く。そしていつの間にか雲を突き抜け、黄金色の空を見上げながら、三人の束の間の空中遊泳は終わった。


「さあ着いたぞ」

 フェンリルは三人を降ろした。そこはかつて一度訪れたことのある、ロストアイランドであった。そして正面にある石造りの神殿に入って行くと。そこには既に、何体もの神獣と、神獣使いの姿があった。そしてその中央には、巨大なドラゴンが赤い目を光らせていた。

「これで揃ったな。さあ、もう既に周知のことだと思うが、120年前に地上を支配していた古代神獣が蘇った。そしてこの地上を再び手中に収めんと、行動を開始している。しかし我々とて、黙ってやられるわけにもいかん。奴らの本拠地は分かっている。そこの者よ。地図を持って来い」

「は、はい」

 呼ばれたのはジャックである。彼も契約したばかりのゴーレムとともに、ドラグーンの一軍に加わっていた。そしてイソイソと世界地図を持って、それを地面の上に広げた。当然、ドラグーンには小さすぎて見えないが、周りの人間達は、ゾロゾロと地図を身に集合していた。


「場所は最南端。ここにいるジャックという青年の村周辺に、木の枝が円状に集まってできた。巨大な巣のような建物がある。最も、それは自然によって誕生した物で、建造物と呼べる代物ではないがな」

 神獣も人間も固唾を呑んで話に耳を傾けていた。

「この巣のような建物を、知っている者は少ないであろうが、悪魔の巣と呼ぶらしい。古代神獣達はそこに集まり始めている。大権鐘の音を聞いて、我々の覚悟に気が付いたのだろう。彼らも全面戦争を望んでいるらしい」

 ドラグーンは静かに眼を閉じると、羽を広げて叫んだ。

「さあ、今こそ決戦の刻だ。我とともに来る覚悟のある者は、我が背に乗るが良い」

 ドラグーンの叫びは人間と神獣を鼓舞するには十分過ぎるほどの威力があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ