表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/121

原虫生物がやって来る

 ファム達は、バルド城の王室に集まっていた。この城で唯一、無傷な場所がここだけだったのだ。直にこの国から出る必要があるかも知れない。これ以上、こんな脆い場所に留まっているわけには行かないのである。

「皆の容体はどう?」

 玉座に座っているアリッサは落ち着かない様子で、大臣の服の裾を引っ張った。

 最近、城の兵士達が熱病で次々に倒れるという事件が多発していた。現在のところ治療法はなく、次々と兵士達は命を落としていた。しかし妙なことに、その熱病に感染しているのは、兵士達限定で、アリッサや大臣など、兵士以外の人間達は、兵士と一緒に過ごしていても、決して病に倒れることはなかった。


「王女、兵士の詰所で、赤い色の奇妙な蚊を見つけました」

 アリッサは立ち上がった。それこそが彼女達の探していたものだったからだ。

 蚊、それは人間達にとって非常に身近な虫であると言えるだろう。しかしそれゆえ、最も危険な存在であるとも断言できる。彼らは病気の媒介者としての一面も持っている。熱帯地域で流行しているマラリアは、マラリア原虫と呼ばれる。大変小さな生物が、蚊が血を吸うと同時に、人間の体内に侵入して発症する病気である。


「それが病の原因・・・・」

 アリッサ達は早速、その蚊を捕まえると、サラマンダーを召喚して、彼の目の前で蚊を真っ二つにした。

「どう、見える?」

「いや・・・・」

 サラマンダーは静かに首を振った。するとアリッサが、彼の胸倉を掴んで締め上げた。およそ、神獣に対する扱いではない。

「嘘でしょ。よく見てよ。私達の肉眼じゃ見えないのよ。眼が良いのだけがあんたの取り柄でしょうが」

「おい、待てよ。眼だけとは気に食わんな」

 サラマンダーの言う通り、蚊の体内から寄生虫の類は検出されなかった。その後、同じような蚊を何体か見つけたが、結果は同じだった。そしてそのまま夜になった。


「ん・・・・」

 アリッサは寝室のベッドの上で、寝苦しそうに唸っていた。耳元でプーンッと蚊の飛び交う音が聞こえていた。眼を開けると、鼻の頭に、今日捕まえたのと同じ種類の蚊が止まっていた。

「嫌あ」

 手で振り払うと、蚊はそのままドアの隙間から外に出て行ってしまった。ふと、腕に痒みを覚え、袖を捲ってみると、肌が赤く腫れていた。彼女は気味悪そうに腕を少し手で掻くと、再び毛布を被って眠りについた。不思議と、今度はすんなりと寝ることができた。


 次の日、また兵士達の間で新たなる被害者が現れていた。体から火を噴くように高熱を発して、ベッドの上でうなされている。

「昨日、私、蚊に刺されたのよ」

 アリッサは刺された箇所を、大臣に見せた。

「な、姫様それでは・・・・」

「平気よ。私元気だもん。それよりも兵士達の具合はどう?」

「悪いです。兵士達は蚊に刺されているのですよ。それなのに蚊には何の危険もない。町の住民達の中でも、あの赤い蚊に刺されている人はたくさんいます。しかし彼らは熱病に罹ってはいない」

「神獣・・・・」

 アリッサはボソッと呟いた。この異様な状況は古代神獣によってもたらされたと考えられられないだろうか。彼女はそれを皆に話したが、結局、原因など分からないのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ