必殺の一撃
「くひひひひひ」
トータスは不気味に笑いながら、再び甲羅の中に入り、ファムに向かって突進してきた。
「真・鎌鼬」
ファムの剣から竜巻が発生した。そしてトータス目掛けて放たれた。
「くひひ・・・・」
鎌鼬はトータスの体を切り刻むどころか、傷をつけることすらできなかった。彼女は右に逸れて、甲羅の突進を避けた。トータスはそのまま城の壁を破壊して、城内に入った。
「はあ・・・・何て頑丈なんだ・・・・」
ファムは額の汗を手で拭った。
「ファムさん、上だ」
ソルガが突然叫んだ。何と、城の3階の窓をぶち破って、トータスが飛び出してきたのだ。そしてスピンを効かせながら、ファムの脇腹にぶつかった。
「かは・・・・」
ファムはそのまま錐揉み状に回転し、地面の上を転がって行った。
「げほ、げほ」
ファムは血と痰の混じったものを地面に吐いた。そして上体を起こそうと、体に力を入れたが、まるで自分のものではないように、全身が痺れて言うことを聞いてくれなかった。
「何て・・・・ことだ・・・・。体が動かない」
ファムの顔に太陽の光が当たった。眩しくて暑かった。そこにトータスが近付いてきた。
「くひひ、よく見ると、結構良い女じゃないか。鎧なんぞ着ていなければ、今頃は肉片になってたぜ」
トータスはファムの顔を見下ろした。彼女の視界に映っていた太陽が遮断され、醜い亀の顔が移りこんできた。
「ただ殺すのは惜しいな。くひひ、少し楽しむか」
トータスはソルガの顔を横目でチラッと見た。
「な、貴様はファムさんに何をする気だ」
「さあね、お前が嫌がることかな」
ファムは冷静にトータスの体を見た。確かに甲羅は固そうだが、それは貧弱な内部を守るためにあるものだ。ならば、甲羅から露出している部分を狙えば良いのではないだろうか。そしてそれは顔になるのだが、この距離で攻撃するのは不可能だ。しかし一つだけ手は残っている。それは腹だ。亀の腹は脆い。少なくとも甲羅よりは簡単に傷付けることができるはずだ。
「少し頭をかじるだけだぜ」
トータスはファムに向かって跳び掛かってきた。それこそがトータスの命運を決めた。
「真・鎌鼬」
ファムの剣から暴風とも呼べる真空の刃がトータスの体を押し上げた。そして彼の弱点であるとも言える腹部を、ズタズタに切り裂いたのだった。
「うぎゃああああ」
全身から紫色の血を放出しながらトータスは、地面に叩きつけられた。そして白目を剝き、口からは血泡を吐きながら、そのまま動かなくなった。
「何とかやったが、たかが一匹の神獣に城を破壊されるなんて・・・・」
兵士達は悲痛な面持ちで、破壊されたバルド城を見上げていた。




