二つの激闘
いよいよ大会も大詰め、準決勝戦が始まった。最初はカイザーとパンデモニウムとの試合である。
「ふん、お前もさっきの便所野郎と同じ結末を迎えるのだ」
「悪いが、パンデモニウム、私は同じ騎士として君を恥ずかしく思うよ。何故、対戦相手を殺す必要があるのだ?」
「知れたこと、弱者は言葉を持たない。負けた者に生きる資格などないからだ」
パンデモニウムの両手から銀色の爪を伸ばした。同じくカイザーも剣を抜いて、臨戦態勢に入った。実力者同士の白熱の試合に、会場の熱気は高まっていた。
「覚悟しろ」
パンデモニウムは爪を突き立てて、カイザーに襲い掛かった。
「当たるか」
カイザーは攻撃を避けるが、パンデモニウムはそれを狙っていたのか、素早く彼の背後に回り込み羽交い絞めにした。
「馬鹿め、この時を待っていたぞ」
パンデモニウムは、カイザーの体を真上に放り投げた。そして空から落下してくるカイザーを見て、パンデモニウムは笑った。
「見てろよ。貴様を倒すために編み出した必殺技を」
カイザーの体に向かって、パンデモニウムは口から白い冷気を吐き出した。そしてカイザーの鎧が凍りついていく。
「カイザー、覚悟しろ。この地獄巡りは第4弾まであるぞ。まずは最初の極寒地獄だ」
パンデモニウムは氷漬けになったカイザーを抱えると、再び上空に投げ飛ばした。
「お次は黒縄地獄だ」
パンデモニウムの腕から黒い縄が伸びて、カイザーの腰に巻き付いた。そしてそのまま彼を拘束すると、口から、今度は高熱のガスを吐き出した。
「灼熱地獄だ」
カイザーの氷漬けの体が溶けていく。そして黒縄が燃えて、彼の体を火だるまに変えた。
「最後は衆合地獄だ」
パンデモニウムは再び銀色の爪を両手から伸ばすと、その場で大きく跳躍し、落下してくるカイザーの体を串刺しにしようとした。
「甘いな」
カイザーは空中で軌道をずらした。そしてそのままパンデモニウムの爪を避けて着地した。
「何だと・・・・」
パンデモニウムも着地した。
「何故、無事なんだ・・・・?」
「悪いが今の攻撃では私は殺せない。だがおかげで鎧がボロボロだ。もう使い物にはならないだろう」
カイザーは兜を外した。金髪の髪をした端正な顔立ちが白日の下に晒された。彼は剣を抜くと、地面を蹴って、パンデモニウムの元に走った。
「来るか。だが俺の鎧は、そう簡単には傷付けられないぞ」
カイザーはパンデモニウムの前に立つと、剣で素早く、彼の体を横向きに薙ぎ払った。
「ぐむ・・・・」
パンデモニウムの体が後方に倒れた。しかし彼の鎧は傷一つ付いていない。しかし鎧の隙間からは、彼の鮮血が流れ出ている。恐るべきことにカイザーの斬撃は、彼の鎧をすり抜けて、直接に彼の肉体を斬ったのである。
「終わりだ。君は死んだ」
パンデモニウムは、カイザーの言葉通りに動かなくなった。試合はカイザーの圧勝だった。




