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女騎士は美少年を愛してる  作者: よっちゃん
新世界創造編
117/121

その日まで…

シメネスとアンジェリカは、小さな小屋に到着すると、ファムとアリッサが遠くにいることを確認して、中に入った。

「マザー、ここで後3日も過ごすのですか?」

シメネスは埃に噎せながら訪ねた。アンジェリカは、部屋の真ん中に開いた大きな穴を指で示した。

「クレトスは既に来ていたのね」

「え、クレトスが?」

「ええ、あの穴はクレトスの神獣によるもの、梯子が付いているでしょ。彼が下にいるんだわ。私達も行きましょう」


二人は梯子を下り、穴の中に降りて行った。そこはまるで、洞窟のようになっていて、周囲が岩盤によってできていた。少なくとも、ここが小屋の中とは思えない広さであった。

「クレトス、来ていたのね」

アンジェリカは、洞窟の奥で、岩場に腰掛けているクレトスを発見した。彼は薄ら笑いを浮かべながら、手を振ってきた。


「二人だけかい?」

クレトスは金髪と黒髪の入り交じった髪をしていた。そして、女性なら誰もが、振り返るであろう、甘いマスクの持ち主だった。

「タレスとサゴラスは死んだわ」

シメネスは悔しげに言った。しかしクレトスは、そんなことはどうでも良いとばかりに、話題を変えた。

「ところで、この穴は、世界一安全なシェルターだよ。どうする?」

「決まってる。私の能力が完成する3日後まで、ここで待つことにするわ」

「へえ、退屈な話だね。こんな暗くて、ジメジメした穴蔵に3日もいるのかい。ここじゃ朝も夜も分からないよ」


「私の能力が目覚めれば出られるわ。それよりも、穴は塞いだでしょうね」

「もちろん。これで誰も僕らを攻撃できないよ」

シメネスは二人が話している間、洞窟内を探索していた。洞窟には小部屋がいくつかあって、フルーツや肉類の食料が貯蔵されていた。恐らくクレトスが用意したものだろう。

「さて、これからどうしようか?」

「じっとしてるより他ないわね」


洞窟内では時間の経過は分かりにくいが、既に1日が過ぎており、ファムとアリッサは、アンジェリカ達の入って行った小屋に辿り着いた。

「今までの苦労が嘘みたいに早く着いたわ」

「アリッサ、おかしい。何故こんなにもあっさりしているんだ」

「中に入れば分かるわ」

アリッサは小屋の戸を開け放った。

「何もないわね」

「本当にただの小さな部屋だ」

二人の眼前には、埃まみれの部屋があるだけで、他はもぬけの殻であった。

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