表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女騎士は美少年を愛してる  作者: よっちゃん
新世界創造編
116/121

マイマイの謎

ファムとアリッサはアンジェリカとシメネスを追いかけていた。

「いくら走っても追い付けないわ」

「アリッサ、少し心は痛むが、ここら一帯の草を焼き払ってくれ」

「分かったわ。サラマンダー」

サラマンダーは口から火球を吐くと、周囲の草を燃やした。果たして、草は焼け、周囲は黒くなった地面と、焦げた草の残骸だけになった。


「これで見通しが良くなったな」

「私のサラマンダーの舌は、数メートルは伸びるわ。試してみましょ」

「サラマンダー、フレイムタン」

「おうよ」

サラマンダーは、炎の形をした舌を、アンジェリカ達目掛けて伸ばした。

蛇のように長い舌が、これ以上ないほどに伸びる。1メートル、2メートル、3メートル。しかしいつまでも経っても、アンジェリカには届かない。

「アリッサ、もう無理だ。舌が切れちまうよ」

「分かったわ。戻して良いわよ」

サラマンダーはアリッサに言われて、ホッとしたように、舌を口の中に引っ込めた。


「あいつら、見た目より遠くにいるみたい」

「いや、私達が全く進んでいないのかもしれない」

ファムは周囲の様子が全く変化しないことを指して言った。先程、炎で草を燃やしたが、全ての草を燃やしたわけではない。だが、いくら歩いても、焼け焦げた草と、黒い地面が続いていた。

「ねえ、陽が落ちたわ。早くしないと真っ暗になっちゃう」

「はあ…」

ファムは急に溜め息を吐くと、地面に座り込んだ。

「どうしたの?」

「今日はここで休もう」


ファムの唐突な提案に、アリッサは首を左右に振った。

「嫌よ。こんな虫が出そうな場所」

「虫がいるから良いんだろ。あ、てんとう虫だ。ラッキー」

ファムはてんとう虫を捕まえると、バクッと口の中に放り込んだ。横目で見ていたアリッサの顔色も気にせずに。

「うげええ、何でそんなの食べれるのよ」

「これだから姫は困る。貴重なたんぱく源だぞ 」

「何で、そんなに冷静なのよ。全く…」

呆れているアリッサを見て、急にファムの顔付きが真剣なものになった。

「アリッサ、動いてもダメな時だってある。悪戯に体力を消費するのは、危険だと、言っているんだ」

「でも…」

「良いから、ほら、バッタ食べて良いから」


ファム達が追って来ないのを見たシメネスは、クスッと小さく笑った。

「マザー、あいつら諦めたみたい」

「いえ、油断は禁物よ。最も、あなたの神獣マイマイがいれば、心配する必要はないけどね」

「私に敵意を向けた者は、決して私に到達できない。この蝸牛もやるわね」

シメネスの肩には、蝸牛が這っていた。あまりに小さく、弱々しい神獣だったが、今の二人には、これほど頼りになる存在はいない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ