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女騎士は美少年を愛してる  作者: よっちゃん
新世界創造編
115/121

アンジェリカ再始動

「ソルガ・・・・」

 ファムはソルガの元に駆け寄った。彼は死んでいた。しかしその表情はまるで生きているように安らかだった。彼は彼の役目を果たしたのだ。そして今の自分が生き永らえているのは、全て、彼のおかげだった。ファムは彼という存在を胸に刻むと、空を見上げた。

「何あれ・・・・?」

 ファムの目線の先に、金色に輝く一本の線が、雲を突き抜け、自分のいる反対側に向かって進んでいるのが見えた。そしてそのまま、地面に落ちると、強烈な眩い光を放った。


「ファム」

 いつの間にか、逃げていたはずのアリッサがマロを背負って戻って来ていた。

「今の光は・・・・」

「きっと、何かが起きようとしているのよ。さっきの緑髪の女が神がどうとか、言っていたけれど、もしかしたらそれかも知れない」

 ファムとアリッサは互いの顔を見合わせると、強く頷いて、光の落ちた先に向かって走り出した。


 その頃、シメネスは草原の真ん中で、新たなる神の誕生を涙ながらに迎えていた。そこには姿こそ変わらないものの、今までとは違う、新たなるアンジェリカの姿があった。

「マザー、ついに神となられたのですね」

「いえ、まだよ。はあ・・・・はあ・・・・、後、3日立たないと。ああ、精神が不安定でおかしくなりそう。この肉体を捨てて、神になるには、時間が必要なのよ。そして、孤独に耐える勇気もね」

 アンジェリカは膝を突いて、そのまま地面に倒れそうになっていた。シメネスは素早く、彼女に駆け寄って、体を支えていた。

「行きましょう」

「ええ・・・・」

 大きな志のために動き出そうとする二人の背後から、それを食い止めようとする二人、いや三人がいた。


「待て、そこまでだ」

 ファムとアリッサ、そして彼女の背中で眠るマロが、草原に姿を現した。

「まずいです。マザー」

「落ち着くのよシメネス。今こそあなたの神獣を出すの。あなたの神獣は弱いわ。でも今は最も必要なものよ」

「ええ、分かりました」

 二人は何を思ったのか。そのままプイッとファム達に背を向けると、そのまま歩き始めたのだった。

「あいつら、正気?」

 アリッサとファムは、草を掻き分けながら、アンジェリカとシメネスの元に走って行った。距離で言えば、10メートルも無い。少し走ればすぐに追い付く距離だった。


 ファムとアリッサは全速力で、ファムは重い鎧を、アリッサは背中のマロの存在を忘れるほどに、無我夢中で二人を追いかけた。しかし、奇妙なことに、いくら走ろうとも、二人との距離が縮まらない。二人は歩いているというのに、全く、歩いていても、走っていても、二人の元に到達することができないのである。

「どういうことよ。はあ・・・・はあ・・・・」 

 アリッサは額から汗を流し、思わず両膝を曲げ、その場で立ち尽くしてしまった。同じような草だけの景色が続くからだろうか。これは目の錯覚なのだろうか。いくら、考えを巡らしめても、二人に何故追い付けないのか。その謎だけが解けなかった。

「ねえ、ファム」

「ん、どうしたの?」

「奇妙よね。こんだけ走っているのに、追い付かないどころか、離れるわけでもないのよ。最初と同じ、一定の距離のまま、近付きも離れもしない。ずっと一緒、ずっと同じ距離のままなのよ」

「なぞなぞかしらね。いずれにせよ。この謎が解けない限り、私達、永遠にあの二人の元に到達できないわよ」

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