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女騎士は美少年を愛してる  作者: よっちゃん
新世界創造編
108/121

止められない力

 ファムとアインはバルド共和国に着くと、そのまま城に向かい、アリッサのいる王室へと向かった。

「アリッサいるか」

「ああ、あんたか」

 アリッサは不機嫌そうに、頬を膨らませていた。どうやら何かが癇に障ったらしい。ファムにはそれが理解できずに、不思議そうに首を傾げていた。

「何を怒っているのだ?」

「マロが消えただの騒いでおいて、全く連絡しないなんて、あんた、デッドエンドに行ったでしょう?」

「ああ、行った」


 ファムは悪びれる様子も無く答えた。アリッサは半ば呆れたような様子で溜息を吐くと、彼女に地図を渡した。

「あんたがデッドエンドにいたのは知っているわ。これを付けてたからね」

 アリッサは、ファムの後ろ髪に触れると、何かを指で取り除いた。そしてそれはクローバーほどの大きさの葉っぱであった。

「通信草よ。これであんたの会話や、周囲の音を全部聞いていたわ。そして会話を元に、私達の敵の居場所も突き止めたのよ」

「何、どうやってだ?」

「アンジェリカという名の女性が、全国に何人いるか、バルドの人材を使えば簡単に調べられるわ。そして、アンジェリカの中で、デッドエンドに最近収容された女性が二人、そのうち脱獄したのが一人、そして、脱獄したアンジェリカは、やたらと素早い動きで、各地を転々としている。それを追ったのよ。そして、今、彼女が何処にいるのか。それはアップルタウンという、田舎の小さな村よ」


 アリッサとファム、そしてアインはアップルタウンに向かうこととなった。旅支度を始めると、途中で、ソルガもやって来て、合計四人で行くこととなった。アリッサは竜小屋で、ドラゴノイドを四匹連れて来ると、それぞれが一匹ずつのドラゴノイドに乗り、空に旅立って行った。

 ドラゴノイドとは、端的に説明すれば、騎乗用に品種改良されたドラゴンのことである。ドラゴンは太古の昔に滅び去っているが、ドラゴノイドは滅びる以前に、人間達の手によって保護されていたので、滅びずに済んだのだ。ドラゴンとの違いは、体が小さいことと、ブレス攻撃を失ったことぐらいだろう。



 ファム達がアップルタウンに向かっていた頃、アンジェリカの元に更なる来客があった。

「あなたも来たのねサゴラス」

「約束よりも大分遅れちまい申し訳ない」

 サゴラスは、色素の薄い黄色の髪に、顔には膿んだニキビがいくつもあった。そして床に座っているタレスの足を跨いで、窓から外の景色を見ていた。

「サゴラスどうしたの?」

「マザー、バッドニュースです。クソ野郎どもがこっちに向かってる」

 サゴラスは舌打ち交じりにそう言った。

「そんな、予定よりも早いわ。さっさと魔法を発現させなければ」

 アンジェリカはオリジンの方に視線を合わせた。彼女の不安な心を打ち消すように、オリジンは深く頷いた。


「最早、時間は無い。行くわよ」

 アンジェリカは瞳をクワッと強く開くと、竜の首飾り、そして混沌の宝石の上に手をかざした。

「大宇宙よ。我が肉体を捧げる。見返りに、我を神聖なるそなたらの元へ誘え。宿命、因業、宿業、大難、無我、跳躍、運命、再会、宇宙の真理、そして何より、新世界のために、私は人の形を捨てよう」

 アンジェリカの肉体を青い光が包んだ。そして小屋の屋根をぶち破ると、それは大きな光の柱となり、雲を突き破り、大気圏をも越えて行った。

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