お題「トナカイ」「月と太陽」「釣り」
冬。湖などでは表面が凍ることがある。人々は其の氷に穴を開け、釣りを楽しんだりすることがあるのは皆さんもご存じだろう。
グリーンランドのとある湖にて釣りを楽しむ一人の老人が居た。特徴的な白髭や真っ赤な服、そして隣にいるトナカイからその老人がどんな人なのか。想像するのは難しくないだろう。
彼はもう何日もこうしている。月夜も、昼間も。太陽がでているときも。月が出ているときも。
何故そうしているのか。トナカイは時折彼から離れ、木々の間に姿を隠している。
しかし老人はそこを離れない。つり上げた魚や鞄から取り出したパンなどをもそもそと口に運んではいるが、彼は釣りをやめようとしない。
サンタクロースとは何か。皆様はご存じだろうか。
クリスマスに良い子にプレゼントを運んできてくれる老人、黒いサンタクロースは悪い子にお仕置きをする、など。
そういった情報はお持ちであろう。
しかし、では。彼らがクリスマス以外はなにをしているのか。
グリーンランドには長老のサンタクロースの手伝いをするための公認サンタクロースがいる。その人達は普段は一般の人と同様の生活を送り、クリスマス前後やサンタクロース会議の時にサンタクロースとして活動する。
では、長老サンタはなにをしているのか。
その老人は長老サンタなのか。
それはきっと、誰も知らないことなのだろう。
ただ一つ、彼が湖で釣りをしている。それだけが確かなことなのである。




